<フィギュアスケート:全日本選手権>◇21日◇東京・代々木第一体育館◇アイスダンス・フリーダンス(FD)「ゆなすみ」こと…

<フィギュアスケート:全日本選手権>◇21日◇東京・代々木第一体育館◇アイスダンス・フリーダンス(FD)

「ゆなすみ」こと長岡柚奈(ゆな、20)森口澄士(すみただ、23)組(木下アカデミー)が、2年ぶり2度目の優勝を飾った。フリー142・39点とし、合計215・30点。国際スケート連盟(ISU)非公認ながらショートプログラム(SP)、フリー、合計全てで自己ベストとした。SP首位で世界選手権2度優勝の三浦璃来、木原龍一組が三浦の左肩脱臼で棄権した中、25年世界選手権銅相当の高得点。選考基準を満たしている来年2月のミラノ・コルティナ五輪へ、自信を深めた。

演技を終えた長岡と森口は、両手でハイタッチした。総立ちの観客の拍手が、笑顔の2人を包む。横並びの3連続ジャンプ、森口が長岡を持ち上げて滑るリフトなど全ての技を決め、25年世界選手権銅メダル相当の得点を出した。今大会はISU非公認のため単純比較はできないが、選考基準をクリアしている五輪でも上位を狙える内容。森口は「満足のいく演技ができた」と誇った。

五輪金メダル候補の「りくりゅう」こと三浦、木原組が棄権。長岡は「観客の皆さんは、りくりゅう先輩を楽しみに来られたと思う。でも私たちが良い演技を見せて、来て良かったと思ってもらいたい」と燃えていた。結成3季目ながらGPシリーズ2戦連続4位となった波に乗り、宣言通りの好演を披露。「見て良かったと思っていただける演技ができたかなと思う」と笑みを浮かべた。

悔しさを糧に成長した。3月の世界選手権はSP22位となり、目標だった日本ペア初の五輪出場2枠目確保に届かず。その後は新たにロシア出身のサビン・コーチに師事し、練習法を一新した。以前はSP、フリーの通し練習を毎日交互にしていたが、ともに週1回のみに変更。プログラムをパートごとに分けて練習することで完成度を高め、9月の五輪最終予選で3位となって出場枠をつかんだ。森口は「お互いを信じる練習をしてきて結果にも表れている」とうなずいた。

五輪に出場すれば、8位以内の入賞を狙える力がある。三浦、木原組は初出場だった22年北京五輪で7位となり、23年以降に世界選手権を2度制した。その成長曲線を追うべく、森口は夢舞台へ「この全日本を超える演技をしたい」と思い描いた。成長著しい「ゆなすみ」が、この勢いで突っ走る。【藤塚大輔】

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◆長岡柚奈(ながおか・ゆな)2005年(平17)7月13日、北海道・洞爺湖町生まれ。物心ついた頃から札幌市で育つ。5歳でスケートに出合い、7歳で本格的に競技。シングルでは22年全日本ジュニア選手権23位。23年に森口澄士とペア結成。拠点を京都へ移す。同年NHK杯でグランプリ(GP)シリーズデビュー。24年全日本選手権2位、25年冬季アジア大会銅メダル。初出場の4大陸選手権7位、世界選手権22位。趣味は買い物。156センチ。

◆森口澄士(もりぐち・すみただ)2001年(平13)12月29日、京都市生まれ。9歳で京都醍醐FSCでスケートを始め、22年全日本選手権でシングル7位。20年からシングルとペアの“二刀流”で活躍し、長岡と組んだ23年からはペアに専念。趣味は音楽鑑賞でのリラックス。175センチ。