◆フィギュアスケート全日本選手権 兼ミラノ・コルティナ五輪最終選考会 第1日(19日、東京・代々木第一体育館) ミラノ・…
◆フィギュアスケート全日本選手権 兼ミラノ・コルティナ五輪最終選考会 第1日(19日、東京・代々木第一体育館)
ミラノ・コルティナ五輪代表を決める全日本選手権が開幕。男子ショートプログラム(SP)が行われ、五輪初出場を目指す三浦佳生(かお、20)=オリエンタルバイオ・明大=が95・65点で2位発進した。し烈な代表3枠目の争いで前進。フリーで上位を死守し、夢の代表切符へ道を開く。1位は鍵山優真(22)=オリエンタルバイオ・中京大=が104・27点をマークし、優勝での一発内定に王手をかけた。
気迫のこもった会心の演技を終え、三浦は何度もガッツポーズを作った。キスアンドクライで「95・65」と点数を聞くと涙があふれた。国際スケート連盟非公認ながら、今季自己ベストで2位発進を決め「諦めず、過去一番追い込んできた。ホッとしている」。安堵(あんど)の思いがこみ上げた。
初めての五輪を狙う全日本。大一番を前に、自らに言い聞かせた。「俺は練習をやってきた。あとは自分を信じるだけだ」。開始2秒前、重圧は自信に変わった。冒頭の4回転サルコー―3トウループの連続ジャンプを成功させるなどミスなく演じ切った。
左太ももの故障に苦しみ、今年10月のグランプリ(GP)シリーズ、フランス大会は10位。「歯車が合わない時間がきつかった」と振り返る。その後に取り組み始めたメンタルトレーニングで状況を打破した。「練習の時に不機嫌95%、ご機嫌5%みたいな状態から、だいぶ不機嫌が顔出さなくなってきている」。普段の練習から安定した心理状態で滑り、この日の結果につなげた。
試合前の過ごし方も変わった。GPシリーズ自身2戦目のスケートカナダから、ほかの選手の演技を見ないようにしている。この日はニンテンドースイッチの人気リズムゲーム「太鼓の達人」をプレー。「フルコンボできるまでやってから来た」と目標を達成して、すっきりした気持ちでリンクへと向かった。
五輪切符争いは鍵山、佐藤が有力で、実質的に残り1枚を争うライバル友野に7・60点差とリード。初代表へ頭一つ抜け出したが「この喜びは1時間で忘れる。フリーにスイッチを切り替えて集中したい。誰かが飛び抜けて3枠目をリードしているわけではない」と気は抜かない。「全日本で結果を出す以外ない」と今大会にかける思いは強い。成長したメンタルを武器に、五輪への道を切り開く。(富張 萌黄)
◆フィギュアスケートのミラノ・コルティナ五輪代表選考 各3枠の男女は全日本優勝者が自動的に代表入り。2人目は全日本2、3位やGPファイナルの日本勢上位2人(男子は鍵山と佐藤、女子は中井と坂本)、全日本終了時点で国際スケート連盟(ISU)公認のシーズン最高得点の上位3人から選ぶ。3人目は世界ランキングや日本スケート連盟独自の国際大会ポイント上位3人などを選考対象に加える。女子の島田と男子の中田のジュニア勢は年齢制限で対象外。2枠のペアは三浦、木原組と長岡、森口組、五輪団体要員1組のアイスダンスは吉田、森田組のみが五輪出場資格を満たしている。