プロボクシングWBA世界バンタム級王者の堤聖也(29=角海老宝石)が“激闘王”の本領を発揮してレジェンドを制圧する。元5…

プロボクシングWBA世界バンタム級王者の堤聖也(29=角海老宝石)が“激闘王”の本領を発揮してレジェンドを制圧する。

元5階級制覇王者で同暫定王者ノニト・ドネア(43=フィリピン)との団体内統一戦(17日、東京・両国国技館)を控えた15日、都内で公式会見に臨み、ダウンの応酬の激闘を想定してリングに上がる覚悟を口にした。

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“向こう傷”を負う覚悟はできていた。「ドネアのパンチを8オンス(のグローブ)でフルに受ける経験なんてないですから、それを含めてすべて楽しみますよ」。レジェンドが放つ“宝刀”の左フックで倒されても勝つ。その自負と決意が会見後の堤の言葉に込められていた。

会見では「倒されても、立ち上がって倒し返せばいい」と平然と言ってのけた。発言の真意について「(強打を)受けることを想定しておかないと、もらったときパニくるでしょう。(破壊力は)感じてのお楽しみ」。どこまでもひょうひょうとした口調だった。

殴られ、殴る激闘は堤の真骨頂でもある。12回打ち続けても、パンチ力とスタミナは落ちない。24年10月に現WBC王者の井上拓に不断のラッシュを浴びせて世界王座を奪取。今年2月の比嘉との初防衛戦では、9回にダウンを奪われた直後に倒し返して引き分け防衛を果たした。打撃戦で活路を切り開くスタイルを、殿堂入りが見込まれる強打の猛者相手にも貫く。

会見では隣に座ったドネアを観察する余裕もあった。「拳でかい。両拳とも。でも特有なものは感じなかった。まともな外国人は初めて。ワクワクしていいじゃないですか」。“決闘”を前にした心境は「めちゃくちゃ落ち着いています。高ぶることもなく、すごくフラット」。気負わず、力まず、天衣無縫の境地に到達するほど、心身ともに万全の戦闘準備が整っている。【首藤正徳】

○…ドネアは「尊敬する選手」と堤に敬意を表した上で「ワクワクしている」と対戦を待ち望んだ。「(ドネアは)この試合をクリアしてもう一稼ぎしたいというモチベーションがあると思う」との堤の発言には「それはすべてのボクサーの夢であり目標」と笑って返した。チーフトレーナーのレイチェル夫人は「集中力の高さ、パワー、スピードも持ち合わせている」と年齢的な衰えを否定した。