<スピードスケートショートトラック:全日本選手権>◇14日◇最終日◇東京・辰巳アイスアリーナ◇女子1000メートル異色の…
<スピードスケートショートトラック:全日本選手権>◇14日◇最終日◇東京・辰巳アイスアリーナ◇女子1000メートル
異色のヒロイン長森遥南(23=アンリ・シャルパンティエ)が、来年2月のミラノ・コルティナ五輪代表入りを逆転で決めた。
代表選出が確実だった中島未莉ら3人が不参加の中、1000メートルを1分34秒738で優勝。13日の500、1500メートルに続いて3冠を達成し、同日発表の五輪代表に初選出された。女子個人の全種目制覇は、第30回大会神野由佳以来18大会ぶり。ゴルフのベストスコア「68」を誇り、オフに所属先の洋菓子メーカーで働く新星が、夢舞台に挑む。
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長森が笑い泣きした。「頭が真っ白です」。残り2枠の五輪切符を争った最終選考会で、3冠と猛アピールに成功。今季の国際大会に出場していなかったダークホースが、土壇場で五輪切符をつかんだ。「うれしい気持ちでいっぱい」。瞳を潤ませながら喜んだ。
異色の道を歩んできた。神戸市で育ち、小2からショートトラックと並行してゴルフを開始。ベストスコアは「68」を誇り、高校時代にはプロテストも受験した。関学大入学後はショートトラックに専念も、ゴルフ部からの要請で大会に助っ人参戦したこともある。「ゴルフは集中力と上半身を鍛える必要がある。それが生きている」と力に変えている。
今春には地元の洋菓子メーカー「アンリ・シャルパンティエ」に入社。4月から3カ月間は、抹茶やいちご味のフィナンシェ作りを担当した。当初は「砂糖を入れ忘れる失態を犯した」と苦戦したが、すぐに職場に適応。今では「皆さん、ぜひ食べてください!」とアピールするまでになった。
そんな来歴に沿うように、今大会は“長森流”を貫いた。今日の午前3時。ホテルの一室で頬張ったのは、大好物のみたらし団子とおはぎだった。最終種目の1000メートルへの緊張から寝付けなかったが「緊張すると寝られないのは分かっていた。大きな鏡を見ながら食べて『緊張しているなぁ』って」と、本来は朝の起床後に食べるはずだった和菓子をパクリ。「机の上で輝いていたので」。迷わず手にとってモグモグし、独自の方法で心を落ち着かせた。
それもあってか、この日の1000メートルは己に集中。トレードマークの笑顔で氷上に立ち、3冠を達成した。「無我夢中でゴールを目指して頑張れた」。自分らしさを貫き、夢の五輪舞台を手にしてみせた。
五輪本番の出場種目は、今後の代表合宿などを経て決まる。「日本を背負って戦わないといけない。気を引き締めていきたい。今はスケートに専念して良かったと、ちょっとだけ思えるかな」。これまで歩んだ道は、夢舞台へとつながっていた。【藤塚大輔】
◆ショートトラック日本勢の現状 ミラノ五輪は男子4人、女子5人が代表入りした。目標は98年長野五輪男子500メートル金の西谷岳文以来、日本勢28年ぶりのメダル獲得。個人種目は男子が500、1000メートルで各2枠、1500メートルで3枠を獲得。女子が500メートルで2枠、1000、1500メートルで各3枠を確保している。男子の宮田将吾は有力選手が集うワールドツアー第2戦1500メートルで2位に入り、メダル候補に挙がる。女子は3000メートルリレーで同第2、3戦でともに3位と健闘した。個人種目や各リレー種目のメンバー4人の割り当ては、今後の代表合宿などを経て決定する。