◆プロボクシング ▽WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 4団…

◆プロボクシング ▽WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 4団体統一王者・井上尚弥―WBC同級2位アラン・ピカソ(12月27日 サウジアラビア・リヤド、モハメド・アブドゥー・アリーナ)

 27日のサウジアラビアでの興行「THE RING V:ナイト・オブ・ザ・サムライ」に参戦する世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥が13日、横浜市内の所属ジムで公開練習を行った。WBC同級2位アラン・ピカソとの防衛戦へ向け「今回はKO決着したい」と宣言。WBC世界バンタム級新王者となった弟の拓真(29)=大橋=とのマスボクシング(軽めのスパーリング)も1ラウンド披露した。

 兄弟世界王者が、リング上で対峙(たいじ)した。互いに高速ジャブを交換すると、尚弥がフェイントからのワンツー、逆ワンツーを仕掛けるなど、ハイレベルな技術戦を繰り広げた。尚弥が公開練習で対人練習を行うこと自体も珍しく、極めて異例の“兄弟対決”が実現した。ミット打ちを終えた尚弥は、マッスルポーズで筋骨隆々の上半身を誇示。「精神的にも肉体的にもすごく仕上がっている。早くサウジアラビアに行きたい」と目を輝かせた。

 先月、拓真が那須川天心(27)=帝拳=に判定勝ちして世界王座返り咲きを果たした。試合を控えた尚弥も、天心と同じサウスポーに構えてアドバイスを送るなど弟をサポート。「正直、拓真が勝った瞬間に自分の気持ち的に抜け殻になるのかな、という不安もあった」と打ち明けたが、「逆に刺激を受けた。次の日の練習もすごく調子が良くて、逆に気合をもらった」。チーム井上の勝利が、尚弥の闘志にも火をつけた。

 4団体統一王者の年間4度の防衛戦は、世界でも前例がない。尚弥にとってもデビュー翌年の13年以来の年間4試合となるが「戦うことが好きなので、常に緊張感と張り詰めた空気の中でいられるのは心地いい」。あえてKOを封印してフルラウンド戦った9月のアフマダリエフ戦から3か月。「毎試合KOは頭に入れているが、前回はここ数年では珍しく判定勝利を考えて試合に挑んだ。今回はしっかりとKOを狙って、それを実行したい」と2戦ぶりのKO勝利を予告した。

 サウジでは、来年5月に東京ドームで対戦が計画されている世界3階級制覇王者・中谷潤人(27)=M・T=と初めて同じリングに上がる。「ファンの方は来年の試合をイメージして、試合内容で『どっちが強い』『どっちが勝つ』という楽しみもあると思う。そういう見方もしてもらえたら、盛り上がる日になるんじゃないか」。中谷とのKO競演が、ドーム決戦の前哨戦となる。(勝田 成紀)

 ◆井上尚弥の2025年

 ▽1月24日 東京・有明アリーナでWBOスーパーバンタム級11位の金芸俊(韓国)に4回2分25秒KO勝ち。

 ▽5月4日 米ラスベガスのT―モバイル・アリーナでWBA同級1位ラモン・カルデナス(米国)と対戦。2回に左フックのカウンターでダウンを奪われるも、7回にダウンを奪い、8回に連打を浴びせてレフェリーストップを呼び込み8回45秒TKO勝ち。

 ▽9月14日 名古屋市のIGアリーナでWBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と対戦。16年リオ五輪銅メダリストの「キャリア最大の強敵」をアウトボクシングで翻弄(ほんろう)し、5年10か月ぶりの判定決着となる3―0の大差判定勝ち。