大学創立60周年の記念の年に、京産大が全国大学ラグビー選手権で「4強の壁」を破る。今季の関西大学リーグでは2位となったも…
大学創立60周年の記念の年に、京産大が全国大学ラグビー選手権で「4強の壁」を破る。今季の関西大学リーグでは2位となったものの、広瀬佳司監督(52)と主将のフランカー伊藤森心(もりし、4年=松山聖陵)はチームに伸びしろが大きいと声をそろえる。赤紺のフィフティーンは14日の慶応大戦までにチーム力を大幅にアップさせ、新たな景色を見にいくつもりだ。
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京産大はラストスパートでチーム力を向上させ、悲願の大学選手権決勝進出、その先の優勝を成し遂げる。
関西大学リーグでは最終節で天理大に敗れて惜しくも2位となったが、今季のチームは伸びしろを残している。就任5年目の広瀬監督は「まだ伸びる要素がある。まだまだ強くなれる」と現状を分析。14日の3回戦・慶応大戦(花園)が初戦となる大学選手権までの進化が可能だと断言した。
期待が強まるのは、課題が明確だからだ。「セットプレーが安定しなかった」。関西大学リーグを通じてミスも出たセットプレーを確かなものにすること。「ここが改善できればかなりチーム力アップになる」と力を込める。
初戦までの時間は少ないが、指揮官は「何かのきっかけで改善できる」と“その時”を待つ。その中でキーマンに挙げたのは、フランカーの伊藤だ。「主将のリーダーシップでまとまれば、相乗効果で今までの力以上のものが出せる」。残された時間での変化には、主将の力がポイントになるとした。
指名された伊藤も、現在のチームに改善の余地はあると認識し、急ピッチでの改善に向けて覚悟を持って取り組んでいる。「全く完璧なチームではないので、伸びしろしかない。でも伸びしろを伸びしろで終わらせてしまうこともできる。実際に成長できるかっていうのは、これからの準備次第」。今季は10人リーダー制を導入して底上げを図ってきたが、最終段階では自らのリーダーシップでチームを引き上げるつもりだ。「ひた向きに、謙虚に、泥くさく。それが京産らしさ。こだわってやっていく」と力を込めた。
大学選手権では4大会連続で準決勝に進出しながらも「4強の壁」を破れずにいる。京産大として通算12度目のチャレンジでの鬼門突破へ、伊藤は「僕がチームの火つけ役になれたら」。一気に結束力を高め、歴史を塗り替える。【永田淳】
○…ロックの石橋チューカ(3年=報徳学園)が、サイズアップした体で大学選手権に挑む。
将来の日本代表入りも期待される逸材は、1年時から出場しながらも線の細さが指摘される選手だった。しかし入学当初90キロだった体重は105キロまでアップ。トレーニングに加え、食事への意識を高めることで体を変えた。「元々あまり(量を)食べられなかった」というが、昨年のU-20代表活動で食事管理を徹底されたことを機に、生活を見直した。「1日の摂取量や内容、タイミングが具体的に設定されていて、それを参考に」。その成果は、明らかに大きくなった体が証明している。
日本代表のエディー・ジョーンズHCから「ちゅうちょせず、考えすぎずプレーしたらいい」と助言を受けたことで、思い切りの良さもアップした。「直感で、いくと決めたら思い切る」。特にタックルは自ら「良くなった」と実感するまでになった。パワーと勢いを増した4番が、決勝進出を目指すチームを押し出していく。
▽SO吉本大悟(セットプレーの改善に必要なことについて)「本当に自分ですね。僕が変われば変わると思ってるんで僕は僕の仕事に集中したい」
▽NO8シオネ・ポルテレ(初の決勝進出へ)「今ある状況をネガティブではなく、ポジティブに考えて、チームを引っ張りたい。そしてベスト4の壁を破りたい」