第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で初優勝を目指す国学院大が12日、東京・渋谷区の渋谷キャンパスで壮行会と会見を行…
第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)で初優勝を目指す国学院大が12日、東京・渋谷区の渋谷キャンパスで壮行会と会見を行った。今季、急成長し、外国人留学生と対等以上に戦っている野中恒亨(ひろみち、3年)は「SNS上で日本人留学生と言われています」と笑った。バネがあるスケールが大きな走りが持ち味で、前田康弘監督(47)は「野中で先頭に立つというイメージを持っています」と信頼を寄せる。静岡・浜松市出身の20歳が、創部105年目にして悲願達成の切り札となる。
今季の学生3大駅伝初戦、10月の出雲駅伝。エース区間の3区で、野中はライバル校と駅伝ファンに衝撃を与える走りを見せた。
箱根2区で区間記録を持つ東京国際大のエティーリ(3年)、5000メートル(12分48秒20)と1万メートル(26分57秒30)の自己ベストが日本記録より速いアイビーリーグ選抜のブランクス(ハーバード大)に競り勝った。区間賞は城西大のキムタイ(4年)に譲ったが区間2位の快走。「相手が1万メートル26分台とか気になりませんでした」と堂々と話す。
11月の全日本大学駅伝では3区区間賞。出雲で敗れたキムタイに1秒勝った。2戦連続の快走で駅伝ファンの間で愛称がつけられた。「SNS上で『日本人留学生』と言われています。チーム内では呼ばれていませんけど」と野中は笑う。
5年前、浜松工1年だった野中が疾走する姿に前田監督は目を奪われた。「腰高でバネがすごかった」と出会いを振り返る。指揮官の熱烈な勧誘を受けて23年に国学院大に入学。1年目からメンバー争いに絡み、箱根では7区に区間登録されたが、当日変更で控えに回った。「悔しかったと思いますが、その気持ちを大事にしてくれた」と指揮官は成長に目を細める。
2年目の出雲4区で学生3大駅伝デビューして区間賞。全日本も5区で区間賞を獲得した。箱根は直前で体調不良があり、1区6位。その苦い経験も今に生きている。「去年の今頃は箱根の経験がなかった。今回は心構えが違います。自分の強みを生かせるのは1区、3区、7区」と自信あふれる表情を浮かべる。
11月には1万メートルで日本人学生歴代6位の27分36秒64をマーク。昨季までのエースだった平林清澄(現ロジスティード)の国学院大記録を約20秒も更新した。「野中で先頭に立つイメージ。それが1区なのか、他の区間なのかは言えませんが」と指揮官は言う。浜松市生まれの「日本人留学生」が、国学院大の悲願達成へと導く。(竹内 達朗)
◆野中 恒亨(のなか・ひろみち)2005年2月16日、静岡・浜松市生まれ・20歳。浜松工3年時に全国高校総体5000メートルで決勝に進出し、17位。23年、国学院大人間開発学部・健康体育学科に入学。学生3大駅伝は5回出場し、区間賞3回。優勝も3回経験。次期主将に内定済み。ハーフマラソンの自己ベスト記録は1時間54秒。176センチ、55キロ。
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