日本サッカー協会(JFA)の山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND、67)が12日、母校・国士舘大で特別講演を行った…
日本サッカー協会(JFA)の山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND、67)が12日、母校・国士舘大で特別講演を行った。
今年度の2月にJFA公認C級指導者ライセンス取得講座を同大21世紀アジア学部でスタートさせるにあたり、学生に心構えや人生訓を送るのが狙い。
壇上に立った山本NDは1時間20分、「成長」をテーマに自身の経験を交えて熱弁をふるった。
「スポーツの世界には達成感もあるし、失望感もある。途轍もない喜びも味わったりしながら成長していく。勝ち負けがあるからこそ、スポーツにはさまざまな感情が色濃く出る」
「人生は挑戦なので、失敗を恐れず挑戦し続けること、あきらめないこと。挑戦するからこそ気づきがあるし、失敗の数が多い人が成功の数も多いと思う。何もしないことこそが失敗だと思う」
チャレンジし続けることこそが、成長へのカギとした。
また、今年2月に亡くなった元理事長でサッカー部時代の恩師、大澤英雄氏との思い出にも触れた。
「勝った時には“まだ足りない”って厳しいことを言う。負けて自信を失いそうな時には“よくやった”って言う。人の心がよく見えているというか、サッカーを教えるだけじゃなくてその人の心をよくつかんでいる」
山本NDは大学3年の時に総理大臣杯を制し、初めて日本一になった。また、大澤監督の指導で心身が鍛えられ、国士舘大OBでの日本代表選手第1号にまでなった。そして何より忘れられないのが、監督として04年のアテネ五輪で1次リーグ敗退して帰国した時のことは忘れられない。
「外から散々厳しいことを言われている中、でかい幟(のぼり)を持って“よくやった”って大声で叫びながら出迎えてくれた。職員の方など皆さんを引き連れながら。後で聞いた話では“勝ってたら俺は行く必要はなかった”って。僕らがつらい時、厳しい時にこそ寄り添ってくれた。しかし勝った時には調子に乗るなって戒める。愛情深く、自分の人生を作ってくれた大恩人です」
そういう思いがあるからこそ、さまざまな人への感謝の念を大事にしてほしいと学生たちに説いた。
「お父さんやお母さんがサポートしてくれて、大学の授業料なども払ってくれている。こう言うことを受けられることに感謝してもらいたい。私は“感謝”よりも強い言葉を知らない。感謝はエネルギーになる。将来、恩返しができるように真剣に授業で学んでもらいたい」
なおライセンス取得が正課科目として単位認定されるのは、国内の大学では初という。