Jリーグの年間表彰「Jリーグアウォーズ」が11日、横浜アリーナで行われ、守護神として鹿島の9季ぶり9度目の優勝に貢献し…
Jリーグの年間表彰「Jリーグアウォーズ」が11日、横浜アリーナで行われ、守護神として鹿島の9季ぶり9度目の優勝に貢献した日本代表GK早川友基(26)が最優秀選手賞(MVP)を獲得した。GKの受賞は2010年の元日本代表GK楢崎正剛氏(当時名古屋)以来、15年ぶり2度目。26年北中米W杯出場を目指す3シーズン連続フル出場中の鉄人GKを、鹿島担当の岡島智哉記者が「見た」。
鹿島不動の守護神・早川のMVP受賞に異論なし。今季の早川は、まさに9季ぶり9度目の優勝の立役者だった。J史上2度目となるGKの受賞に「本当にうれしい」と笑顔がはじけた。
「セーブ数」「セーブ率」「ペナルティーエリア内シュートセーブ率」のGK3大指標で全て1位(出場20戦以上)を誇った。Jリーグ表彰の「月間ベストセーブ賞」は4、9、10、11・12月度の4度受賞。全9回のうち、およそ半数を1人で奪う偉業を成し遂げた。
今季の鹿島は23勝のうち、15勝が1点差勝利。紙一重で勝ち点を積み重ねる試合が続いた。劣勢な試合も多く、そんな試合を早川のセーブでものにしてきたからこそ、2位柏との勝ち点1差Vがあった。
日本サッカー界ではたびたび、GKのタイプを説明する際に「川口能活型」、「楢崎正剛型」という表現が使われる。偉大な2選手のプレースタイルを引き合いに、ビッグセーブ連発型が前者。派手さはないが堅実なタイプが後者。昨季までの早川は「川口能活型」だったと言える。
今季は「川口能活型+楢崎正剛型」という、新境地に一歩踏み出した感がある。チームを救うビッグセーブも昨季まで同様に連発しながら「ミスをしない」という最大の長所を手に入れた。J1通算533試合出場を誇り、今季から就任した鹿島のレジェンドGK・曽ケ端準GKコーチから「ギリギリまで動くな」と口酸っぱく言われ、無駄な動作が減り、安定感と安心感が増した。A代表デビューも飾り、出場した3試合は全て無失点だった。
来季は鹿島での連覇を目指すと同時に、26年北中米W杯での活躍も期待される。「早川友基がいれば(シュートが)入らない、勝てると思わせるGKになりたい。満足することなくレベルアップしていく」。MVP受賞をも通過点とし、進化を続けていく。(岡島 智哉)
◆早川 友基(はやかわ・ともき)1999年3月3日、神奈川県生まれ。26歳。横浜M下部組織で小、中学生年代を過ごし、桐蔭学園高(神奈川)、明大を経て、2021年に鹿島加入。22年9月のJ1デビュー以降、フルタイム出場を継続中(115試合)。世代別代表の経験はなく、25年7月にA代表デビュー。右利きのGK。187センチ、81キロ。