今年の阪神ジュベナイルフィリーズ・G1(12月14日、阪神競馬場・芝1600メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。…

 今年の阪神ジュベナイルフィリーズ・G1(12月14日、阪神競馬場・芝1600メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。過去の名勝負・13年勝ち馬のレッドリヴェール(戸崎圭太騎手が騎乗)を振り返る。

 中団から末脚を伸ばしたレッドリヴェールが快勝。1番人気の2着ハープスター、3着フォーエバーモアとの無敗馬同士の追い比べを制して、2歳女王の座に就いた。

 信じる気持ちは全く揺るがなかった。最後の直線。戸崎が手綱を動かすと、中団を追走していたレッドリヴェールから確かな手応えが伝わった。「しっかり伸びてくれると自信を持って追いました」。馬場の真ん中から全身を使ったフォームで小柄な馬体が加速する。先に抜け出したフォーエバーモアを捉えると、最後は内から猛追してきたハープスターをわずか5センチ差で封じ込める。壮絶な無敗馬対決を制し、2歳女王の座についた。

 戸崎にとっては13年3月のJRA移籍後、G1初勝利。「しびれるぐらい、興奮するぐらいうれしいです」。札幌2歳Sで手綱を執った岩田康、代役の予定だったルメールが香港へ。コンビ結成は1週前追い切りの直前に決まった。「レースのVTRで根性があるなと。実際に乗って、いいフットワークをするなと感じました」。手綱越しの感覚を信じたエスコートで、突然の指名に最高の結果で応えた。

 予感は本物だった。栗東に入った13年5月始め。ゴールドシップも担当している今浪厩務員は同じステイゴールドを父に持つ2歳牝馬に、ある共通点を見つけたという。「左右の爪が対照でほぼ同じ。あまりいないし、バランスのいい走りができるんだ。走ると思ったよ」。カイバを半分近く残す癖があるため、中間は夜9時ごろまで何度も馬房を訪れ、1日5回ほど、小刻みにカイバを与え続けた。馬体は8キロ減も、しっかりと負荷をかける調教を消化。懸命のケアでつかんだ勝利だった。

 札幌2歳S優勝馬が阪神JFを勝ったのは95年ビワハイジ以来、18年ぶり3頭目で、13年までに出走した3頭はすべて勝利。20年にはソダシが新馬→札幌2歳S→アルテミスSから無傷4連勝で勝利している。

 通算成績は18戦3勝。16年8月に左前脚の腱(けん)周囲炎を発症していることが判明し、現役を引退し、繁殖牝馬になった。