第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)のチームエントリーが10日、発表された。優勝候補に挙がる青山学院大、駒澤大、国学院…

第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)のチームエントリーが10日、発表された。優勝候補に挙がる青山学院大、駒澤大、国学院大、中央大、早稲田大の「5強」は、順当に有力選手をエントリーした。

混戦模様の今大会を展望する上で、鍵を握るのは山区間の走り。特に山登りの5区は、タイム差が最も出やすい区間にあたる。前回大会は区間トップと同最下位のタイム差が全区間最高の8分37秒と開き、最終順位にも大きく影響した。最高標高差874メートルを駆け上がる特殊区間のタイムが、優勝争いを左右する。

青学大は4連覇した15~18年以来、同一チームでは史上初となる2度目の3連覇がかかる。前回大会まで山区間を担ったスペシャリストが卒業し、今回は誰が走っても初出走。原晋監督は1年生の石川浩輝、上野山拳士朗、松田祐真のいずれかを投入すると示唆した。箱根8度優勝の名将は「1年生は区間配置が的中する可能性が高くない」と難しさを語りながらも「秘密兵器。自信はあります。前回大会並みの走りを期待している。両方、区間新を狙っていく」と自信十分。ルーキーが期待に応える走りを見せれば、他チームには脅威となる。

11月の全日本を制した駒大は、5区の起用がチームの命運を左右する。藤田敦史監督は5区で過去2度出走の山川拓馬(4年)について「2区も5区も走れるように準備している」と発言。明言は避けたものの、経験者投入の可能性に含みを持たせた。6区では前回区間2位で1年時に区間賞を獲得した伊藤蒼唯(4年)が控える。平地区間でも計算の立つランナーが複数人いるだけに、3年ぶりの王座奪還には5区が鍵を握るだろう。

10月の出雲で連覇した国学院大は、箱根路の5区を“鬼門”としている。過去2年はいずれも区間2桁順位とブレーキ。そこで今年は、例年11月以降に始める山対策を、同校では異例の3月から実施した。前田康弘監督は「2人まで絞れた。どちらが走っても、初めて5区を走ることになる」と明言。「堂々と駒澤と青学に挑みたい」と悲願の初優勝へ意気込んだ。

30年ぶりの優勝がかかる中大は、山区間で食らいつきたい。前回大会は5、6区ともに区間6位でまとめたが、総合順位は5位。往路は2位と健闘したが、復路では表彰台争いにも加われなかった。すでに溜池一太(4年)の2区起用を明言。1万メートル27分台ランナーを6人も擁しており、平地の主要区間での出遅れは考えにくいだけに、山区間で差を広げられないようにしたい。

早大は5強で唯一、5区のめどが立っている。前回区間2位で「山の名探偵」と称される工藤慎作(3年)は強力。山口智規(4年)、鈴木琉胤(1年)らが往路を上位でつなげば、他大学へ大きなプレッシャーを与えられる。

「5強」以外のシード校では、前回6位の城西大・斎藤将也(4年)が山登りの区間賞候補。前回区間3位の実績があり、今大会も好走が期待される。

今回の箱根路は、近年では「山のスペシャリスト」が少ない大会といえる。山区間での貯金や出遅れが、最終順位に大きく影響しそうだ。【藤塚大輔】