<米女子ゴルフツアー:最終予選会>◇最終日◇9日◇米アラバマ州マグノリアグローブGC(クロッシングC=6664ヤード、パ…

<米女子ゴルフツアー:最終予選会>◇最終日◇9日◇米アラバマ州マグノリアグローブGC(クロッシングC=6664ヤード、パー72、フォールズC=6643ヤード、パー71)

米女子ツアーで来季のシードを喪失していた渋野日向子(27=サントリー)が、事実上の敗者復活戦で来季の限定的な出場権を獲得した。最終ラウンドをイーブンパー72で回り、通算5アンダーの281で24位フィニッシュ。出場権を得た31人中、最下位合格という勝負強さと強運で、5年目の来季は一定数の出場が保証された。桜井心那(21)は10位、西村優菜(25)も24位で突破。今季は過去最多13人が参戦した日本勢が来季は15人となる。

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25位タイまでが合格となる最終予選会。24位の通算5アンダーに8人が並んだため、合格者は31人。その一番下に、渋野の名前はあった。同じスコアで並べば最終ラウンド(R)、第3Rなどの順で優劣を決める規則。最下位合格だったが、かけがえのない“勝利の証し”だった。

「緊張感もあり、体も思ったように動かなかった。でも、自分の弱いところに負けたくない思いが強かった。最後まで諦めずにできたと思う。ぎりぎり通って良かったです」

後の組で通過を決めた西村が泣いて歓喜する姿を見ると、2歳上の渋野も泣き出した。その涙は「やっぱり米国で戦いたかったから…」という、偽らざる感情だった。

115人による「マラソンウイーク」と評された過酷な舞台。5日間90ホール(H)の大会は悪天候で開幕が1日遅れ、途中で72Hに短縮。気温10度を切る寒さの中、中断や日没サスペンデッドも繰り返した。

最終R残り7Hから再開となったこの日、6番パー5で決めたバーディーが合格圏へと引き戻した。「あそこで取るしかないと思っていた。いい3打目も打てたし、入ってくれて良かった」。1打違えば落選。強運もあったかもしれないが、最後は真骨頂の勝負根性が光った。

本人が「本当に一番ひどい1年だった」という今季は、23試合で13度の予選落ち。ポイント・ランキングで自己最悪の104位で準シードさえ失った。それでも来季の最低限の出場資格は保持したが、より出場優先順位の上がる最終予選会へ挑戦した。

公式大会31試合が行われる来季、一定の試合数は保証されたものの、1回目のリシャッフル(出場優先順位の見直し)がある5月が勝負どころ。6月の全米女子オープンなどメジャー2大会の出場権を持つが、通常大会で安定した結果を積み重ねたい。

会場で「落ちるところまで落ちた。どんどんはい上がっていく」と決意した渋野はその後、SNSの映像で「26年はもっと笑顔いっぱい、ハッピーに過ごせるように頑張ります」と、ピースサインを送った。日本女子屈指の人気を誇る渋野は、米5年目の来季、どんなドラマを見せてくれるのだろうか。

<渋野の山あり谷ありの1年>

◆スコアの乱高下 5月のブラックデザート選手権2日目に今季自己ベスト65をマークも、翌日78で62位に急降下(最後は60位)。

◆お得意メジャー 5月開幕の全米女子オープンで昨年2位に続き、今季初の1桁7位に入る。

◆無念の中止 シード喪失の危機がささやかれ始めた9月、アーカンソー選手権は悪天候で今季唯一の中止に。首位と4打差34位で発進しながら記録は無効。

◆復調即不調 パッティングを機械によるデータ計測で修正し、10月の富士通レディースで今季唯一の首位発進。しかし翌日76の大たたきで、最後は40位に。

◆ぎっくり首 最終予選会を目前にした11月の大王製紙エリエールで初日に突然の首痛で途中棄権。国内では初のアクシデント。

◆米女子ツアーの出場優先順位 カテゴリー(C)1~20があり、C1が最上位。いわゆるシード権で前年のポイント(P)ランキングで1位~80位が得られる。山下ら日本勢10人が来季C1。笹生は今季132位で本来はシード喪失も、24年全米女子オープンで得たメジャー優勝の5年シードでC3。原英莉花は下部ツアートップ10による昇格でC9へ。準シードと呼ばれる前年Pランク81位~100位はC11。渋野はPランク104位だったため、101位~125位が入るC16の権利を保持も、予選会で得られるC15は、より多くの出場数が見込めるためにあえて挑戦した。