杜(もり)の都から新天地へ。今夏、甲子園に出場した仙台育英(宮城)の前主将、佐々木義恭(よしたか)外野手は駒大(東都2部…

杜(もり)の都から新天地へ。今夏、甲子園に出場した仙台育英(宮城)の前主将、佐々木義恭(よしたか)外野手は駒大(東都2部)へ進む。“仙台育英キャプテン″を経験して大きく成長した。そこで見つけた夢をかなえるべく、挑戦を続ける。U18日本代表候補にも選出され、今秋ドラフト候補にも挙がった川尻結大(ゆいと)捕手(3年)は早大(東京6大学)へと進学。4年後、ドラフト1位でのプロ入りを目指す。

【取材・構成=木村有優】

◇   ◇   ◇

今秋のプロ志望届の欄に川尻の名はなかった。「プロ入りの可能性と、成長曲線を考えたときに大学でやるべきことがまだあると思いました」。高卒捕手として、ドラフト候補に名も挙がっていたが、進学を選んだ。早大には、楽天ドラフト2位の伊藤樹投手(4年)ら仙台育英出身者も多数。「偉大な先輩たちも進学して、活躍していたので、そこで日本一を目指したいと思いました」と決め手を話した。

高校は転機の連続だった。1年生の6月に内野手から捕手に転向。さらに、中学までは内気な性格。人見知りに悩むこともあり、休み時間は読書がお決まりだった。だが、高校入学後は明るいチームメートが多かったこともあり、新しい自分に出会うことができた。「あとは扉を開くだけでした」。今ではムードメーカー的存在で、はじけるような笑顔は、川尻の象徴とも言える。

理想は寄り添う捕手。「自分が内気だったからこそ、そういう性格の子の気持ちもわかるので、どんな投手に対しても寄り添っていきたいです」。ささいな表情もしぐさも見逃さない。常に「後悔しない1球」を選び出してきた。

目標はプロ入り。そこには並々ならぬ覚悟があった。幼少期は「出世払い」と口にしていたが、野球を続けていくうちに、経済的負担などの大きさを実感した。それでも家族は「気にしないで」と背中を押してくれた。「しっかり返したいですし、支えてくれる人の分まで頑張らないといけないと思います」。マスクを被れば誰もが安心する。信頼できる。そんな女房役になり、夢をかなえる。きっとそれが、恩返しにもなる。

◆川尻結大(かわじり・ゆいと)2007年(平19)8月6日生まれ、愛知県名古屋市出身。小2時にツースリー大府少年野球クラブで野球を始め、中学時代は愛知名港ボーイズでプレー。仙台育英では1年秋に初のベンチ入り。172センチ、84キロ。右投げ右打ち。50メートル走6・5秒。好きなアーティストはAimer。