杜(もり)の都から新天地へ。今夏、甲子園に出場した仙台育英(宮城)の前主将、佐々木義恭(よしたか)外野手は駒大(東都2部…
杜(もり)の都から新天地へ。今夏、甲子園に出場した仙台育英(宮城)の前主将、佐々木義恭(よしたか)外野手は駒大(東都2部)へ進む。“仙台育英キャプテン″を経験して大きく成長した。そこで見つけた夢をかなえるべく、挑戦を続ける。U18日本代表候補にも選出され、今秋ドラフト候補にも挙がった川尻結大(ゆいと)捕手(3年)は早大(東京6大学)へと進学。4年後、ドラフト1位でのプロ入りを目指す。
【取材・構成=木村有優】
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「鬼の安定感」を求めて戦国東都へ。佐々木は「入れ替え戦もありますし、そういう中で安定した結果を示すのは難しいことだと思いますが、挑戦という意味でも進学を決めました」と話した。
誰よりも仲間のことを考えた高校野球生活だった。2年春からスタメンに定着するも、最後の夏は途中出場だった。当時は「自分ができることをやるだけです」と繰り返すも、「常に悔しさはありました」と本音を吐露。「チームが勝つことが一番うれしいことですけど、そこに自分が関わりたかったのが正直なところです」と口にした。
仙台育英の主将として過ごした1年。「チーム力が高く、思いやりにあふれたチームをつくりたい」。幼少期から憧れ続けた“仙台育英キャプテン″に立候補した。甲子園を経験したメンバーがいないからこそ、悩むことも多かった。3年春は東北大会で優勝するも、甲子園に出場できる保証はない。「自分たちのやっていることが本当に正しいのか。甲子園を遠ざけているのではないか」。不安で押しつぶされそうだった。
それでも、最後の最後に聖地に立った。「心臓をつかんで話をする」。須江航監督(42)の助言も受け、「相手の心をつかむにはどうしたらいいか」を考え続けた結果だった。「キャプテンをやっていなければ今とは全くちがう自分になっていたと思います。周りへの言葉や関わり方、仲間を考える気持ち。キャプテンでしか学べないこともあったと思います」。今後、迷った時に立ち返る“場所″にもなった。
野球で上の舞台を目指す傍ら、「人生が変わるようなターニングポイントに携わりたい」と中学校教師も夢見る。そこには、須江監督の存在も大きく影響した。「『心をつかむ』ことは、振り返ってみると成長に一番必要なものでした。須江先生のような先生になりたいなと思います」。自分を大きく変えた仙台育英での日々を胸に、新天地へと羽ばたく。
◆佐々木義恭(ささき・よしたか)2007年(平19)4月4日生まれ、秋田県出身。河辺中時代は秋田北リトルシニアでプレー。高校では2年春からベンチ入り。174センチ、79キロ。右投げ左打ち。