来年は「不屈」の精神で三役復帰を目指す。大相撲で左膝の大けがによる長期離脱から、来年初場所(1月11日初日、東京・両国国…
来年は「不屈」の精神で三役復帰を目指す。大相撲で左膝の大けがによる長期離脱から、来年初場所(1月11日初日、東京・両国国技館)で幕内復帰が確実な十両朝乃山(31=高砂)が10日、都内の部屋で相撲を取る稽古を再開した。十両朝翠龍、幕下長内、三段目朝気龍を相手に計16番で12勝4敗。最後は5連勝で締めた。大けがした昨年7月の名古屋場所以来、1年半ぶりの幕内土俵に向け、順調な調整ぶりを披露した。
腰の重さが戻り、かつては苦手意識のあった小兵対策も完成度が高まった。最初は半月ぶりの相撲とあって、豊富な運動量と低い姿勢からの攻めが身上の朝翠龍に手を焼いた。懐に潜り込まれて寄り切られたり、勢いを止められずに押し出されたり、3敗を喫した。それでも1番ごとに相撲勘を取り戻し、最後は朝翠龍に4連勝。途中、1敗していた長内に勝った1番と合わせて5連勝で締め「悪くはない。年内にもう少し慣れしていって、年明けから出稽古の予定」と、上々の手応えを感じていた。
6場所の出場停止処分、左膝の大けがと、2度にわたる長期離脱で、幕内から2度も三段目に転落した。「これがラストチャンス。再昇進していれば3度目の幕内。やっぱり楽しみ。どこまで通用するかは分からないけど、不安はない。来年は三役を目指したい」。力強い言葉が相次いだ。
九州場所千秋楽の取組後に、初場所から始まる2026年を「新しい相撲人生の勝負」と位置付けると語った。そんな新年に向けた意気込み、思いを色紙に書いた。「不屈」。朝乃山は「ここまでくることができたのは、我慢強くなったということ。『元大関』と言われるけど過去は捨てる。はい上がりたい」。来年3月で32歳を迎えるが、志しは新入幕だった8年前と変わらない。「1枚でも、2枚でも番付を上げたい。その中で、お客さんに喜んでもらえたら、何よりもうれしい」。自身が大関を務めていた時とは幕内上位はガラリと顔ぶれが変わった。それでも朝乃山は変わらない不屈の精神で、来年、結びの一番に再び立つ日を目指していく。【高田文太】