今季のJ1は鹿島が9季ぶり9度目のリーグ制覇を成し遂げた。獲得タイトル数を21に伸ばし、リーグ最多を更新した。* *…
今季のJ1は鹿島が9季ぶり9度目のリーグ制覇を成し遂げた。獲得タイトル数を21に伸ばし、リーグ最多を更新した。
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優勝直後の場内インタビュー。鬼木達監督は「このスタジアムはすごいなと思いました」と感謝した。「最後にここで戦えたこと、こんなに心強いことはなかった」。優勝へのプレッシャーを抱える選手の背中を、「圧」で後押しした“聖地”を「最高であり、最強」と表現した。
今季の鹿島は、カップ戦を含めてホーム・メルカリスタジアム(旧カシマスタジアム)で20試合を戦い、14勝4分け2敗の成績だった。
4月の京都戦(3●4)で敗れ、23年シーズン途中から続いていたホーム無敗のJリーグ記録が27でストップしたが、その後も敗北は6月の岡山戦(1●2)のみ。
昨季は引き分けも多かったが、今季は4にとどめ、そのうち3つは終了間際に追いついたもの(浦和戦1△1=後半45分知念同点弾=、広島戦1△1=後半47分レオセアラ同点弾、福岡戦1△1=後半39分舩橋同点弾=)。DF植田直通は「ここでは負ける気がしない」と語るが、多くの選手が同じ思いだろう。ホームでの強さは、リーグ制覇に直結した。
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観客数が多ければ多いほど、スタジアムの雰囲気がよくなるかと言えば、(残念ながら)必ずしもそういうわけではない。どうしても「フェスティバル感」が出てしまうことが多いのだ。
この現象はこれまでの取材の中で、何度も体験してきた。動員数の平均を大きく超えるような客入りになると、どこか緩い空気が生まれる。誰が悪いとかという話ではなく、事実として、そうなのだ。そして、そのクラブはだいたい勝てない。
メルカリスタジアムにはそれがない。人数相応の熱量が生まれる。
最終節の横浜FM戦は、今季最多の3万7029人が駆けつけた。試合後、鬼木監督は「まず本当にスタジアムの雰囲気が、最初から『勝たせてくれる』雰囲気だったことに、本当に感謝したい」とコメント。「選手が今までと打って変わって、自信を持ってプレーしてくれたことは、このスタジアムの雰囲気がそうさせてくれたと思っています」と振り返った。
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今季はクラブ史上初めて、年間の来場者が50万人を超えた(52万615人。J60クラブ全体で5位)。1試合当たりの平均来場者数は2万7401人となり、前年から4000人以上増えたことになる。
来場者数は右肩上がり。それにしっかりと比例して、熱量も右肩上がり。これからも鹿島にとっての聖地は進化を続け、選手にとって「最高であり、最強」の場所であり続けるだろう。(岡島 智哉)