今年の阪神ジュベナイルフィリーズ・G1(12月14日、阪神競馬場・芝1600メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。…

 今年の阪神ジュベナイルフィリーズ・G1(12月14日、阪神競馬場・芝1600メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。過去の名勝負・22年勝ち馬のリバティアイランド(川田騎手が騎乗)を振り返る。

 1番人気のリバティアイランドが直線で一気に抜け出し、重賞初制覇を飾った。2、3着には2ケタ人気の伏兵が入り、3連単17万8460円。フルゲート18頭の内訳は、重賞ウィナー5頭、重賞2着で賞金加算の2頭、2勝馬8頭。加えて9分の3の抽選をくぐり抜けた1勝馬。2歳の半年間に実績を残した牝馬がほぼ出そろったなか、リバティアイランドが魅せた。

 完勝だった。スタートを決め、出たなりで中団から。勝負どころで、不利を受けないよう外めに誘導し直線に向く。周囲の安全を確認すると川田が追い出しにかかり、残り200メートルでステッキが入るとギュンとひと伸び。一気に勝負を決め、ラストは流す余裕すらあった。前後半4ハロンは45秒2―47秒9。前半が2秒7速い流れを、中団でがっちり抑えて直線勝負にかけた。脚力の違いは歴然。力強い伸び脚で、2着シンリョクカに2馬身半差の圧勝劇を演じた。

 デビューから手綱を執る鞍上は「パドックからゲート裏まで集中力が増して、とてもいい雰囲気になったなと思っていました。何も言うことがないぐらい、いい走りでした」と2馬身半差で圧倒したドゥラメンテ産駒を絶賛した。

 川田×中内田厩舎の名コンビが存在感をアピールしたレースでもあった。2人が初めて出会ったのは川田が小学6年生の時。中内田師の祖父が、佐賀で開業している川田の父・川田孝好調教師の厩舎に預託していたことが縁で、兄弟のような時間を過ごした。

 リバティアイランドは今年4月27日に香港で行われたクイーンエリザベス2世C・G1のレース中に故障。左前脚の種子骨靭帯の内側と外側の断裂と球節部の亜脱臼により予後不良と診断され、安楽死の処置が施された。同馬は父ドゥラメンテ、母ヤンキーローズ(父オールアメリカン)の血統で、22年阪神JFでG1初制覇。23年には牝馬3冠を達成し、ジャパンCも2着。24年はドバイ・シーマC3着、香港C2着など海外で健闘した。今年はドバイ・ターフ8着からの転戦。昨秋に続く香港遠征だった。