来季J2に降格する横浜FCは10日、中村俊輔コーチ(47)が契約満了に伴い今季限りで退団すると正式発表した。現役時代の1…
来季J2に降格する横浜FCは10日、中村俊輔コーチ(47)が契約満了に伴い今季限りで退団すると正式発表した。
現役時代の19年7月に加入してから6年半を過ごし、指導者の道も用意してくれた愛着あるクラブ。23年からは現職でトップチームを支えた。複数の関係者によると、古巣の横浜F・マリノスへ10年ぶりに復帰する可能性があり、既に幹部から興味を示されているという。
今年2月には日本協会のプロ(旧S級)ライセンスも取得。今後はJリーグや日本代表などトップチームを指揮することが可能になっている。一方で、ジュニアユース時代も合わせて15年半も在籍したマリノスでは、育成年代も含めた指導やフロントの要職、身売り騒動も起きた名門のイメージ回復など幅広い活躍も期待されており、動向が注目される。
桐光学園高を経て、横浜には97年に入団。1年目から27試合5得点の成績を残して新人王に輝いた。3年目から10番を背負ってベストイレブン、さらに4年目の00年は22歳にして史上最年少MVPも獲得した。
A代表でも10番を背負うなど、代名詞の左足で光を放ってきた。J1の通算直接FK得点ランキングでは24本で断トツ1位。2位の17本に7差をつけている。
セリエAのレッジーナ、スコットランド・プレミアリーグのセルティック、スペインリーグのエスパニョールを渡り歩いた欧州挑戦を終えて10年にマリノス復帰。11年からクラブ史上最長の6季連続(当時)で主将も務めた。
17年にジュビロ磐田へ電撃移籍した際には「スポーツ、サッカーの本質であるべきもの、例えば楽しさ、喜び、信頼、感謝などを持ちプレーすることが、自分は何よりも大切だと思っています。自分の魂であるサッカーと現役を退くその最後の瞬間まで、真摯(しんし)に、そしてなによりも喜びと楽しさを持って向き合うため、懊悩煩悶(おうのうはんもん)の末、マリノスを離れる決断に至りました」とのコメントを出して話題になっていた。
以来10年ぶりに横浜へ帰還する可能性が出てきた。
◆懊悩煩悶 懊悩は、悩みもだえること、煩悶は、もだえ苦しむこと。似た意味を重ねて強調した言葉。
横浜FC退団に際しては、クラブを通じ、次の通り惜別のコメントを出した。
「まずは、今シーズンもクラブをご支援ご声援いただき誠にありがとうございました。コーチとしてJ1残留を果たせずにとても悔しい気持ちと、応援していただいている全ての皆様に申し訳ない思いです。この度6年半在籍した横浜FCを離れることを決断しました。私の中で熟考し、さまざまな思いや葛藤がありましたが指導者として、ひとりのサッカー人として新しい挑戦を求めた末に決めました。2019シーズンにオファーをいただき、そこから現役引退、私の引退試合の開催、指導者ライセンスの取得など、クラブに関わる全ての皆様の多大なるご協力に感謝申し上げます。選手としても指導者としても横浜FCではたくさんの想い出と貴重な経験をさせていただきました。横浜FCで過ごした素晴らしい時間は、私の今後の人生にとってかけがえのないものとなります。横浜FCは大きく飛躍できるクラブだとこの6年半で感じました。必ずJ1の舞台に戻り、J1で活躍するクラブになることを祈っています。共に戦ってくれた選手スタッフの皆様、どんな時でもクラブを応援してくれたサポーター、パートナー企業のみなさま、あたたかいご声援を本当にありがとうございました」