箱根駅伝予選会で敗退したチームの選手で編成され、オープン参加する関東学生連合は、第102回大会(来年1月2、3日)から…

 箱根駅伝予選会で敗退したチームの選手で編成され、オープン参加する関東学生連合は、第102回大会(来年1月2、3日)から大きく変わる。出場上限が2回に緩和されるなど大幅な戦力アップが期待される。注目選手は東大大学院の本多健亮(修士2年)。東大2年時からの4年間で1万メートルの自己ベスト記録を4分30秒も短縮し、大幅な実力アップを遂げた。物理工学専攻の文武両道ランナーは奇跡の成長を続け、夢の箱根路を目指す。10日に全21チームの登録選手16人が発表される。

 大学2年時に1万メートルの自己ベスト記録が33分48秒84だった選手が箱根駅伝を駆けることは奇跡に近い。

 本多は「東大2年の時は予選会の登録メンバー14人に入りましたけど、当日の出走メンバー12人から外れました。理由は単純に実力不足。1万メートル33分台でしたので」と屈託なく笑う。

 その後、急成長を遂げた。1万メートル自己ベストは3年時に31分0秒70、4年時に30分17秒98と更新。昨年、東大大学院に進学し、修士2年の今季は29分18秒13をマーク。4年間で4分30秒以上も縮めた。予選会で個人111位と健闘し、個人枠で連合に選出された。

 東京の進学校、麻布高時代の5000メートル自己ベストは15分53秒。「高校時代や大学3年までは箱根駅伝を走ることは全く考えられませんでした。大学4年生の時から視野に入ってきましたね」と冷静に話す。

 飛躍の理由について「大学2年から継続して毎月600~700キロを走っているからでしょうか」と話す。東大で箱根出場経験を持つ近藤秀一コーチ(30)は「フォームに癖がないので、故障をせずに練習を積むことができます」と明かす。まさに「継続は力なり」だ。学業が忙しい時期は東京・杉並区の自宅から目黒区の駒場キャンパスまでバッグを背負って往復20キロを通学ランするなど愚直、かつ、効率的に努力を続け、箱根に近づいた。

 「東大1~4年時に1区と10区の走路員をして、すごい舞台と実感した。10区を走ってみたいですね」と本多は目を輝かせて話す。

 登録16人で出走は10人だけ。「今回、出走できなくても、来年から博士課程に進むので、あと3回、チャンスがあります。諦めません」と、きっぱり語る。現在、24歳。7日にスペインで大迫傑(リーニン)が34歳にして3度目のマラソン日本記録更新を達成した事実が示す通り、長距離走の年齢的なピークは先にある。

 字は異なるが、読みはサッカー元日本代表の本田圭佑(39)と1字違い。「よく言われます」と笑う。本多には本田の決まり文句の「伸びしろ」がまだまだ残っている。(竹内 達朗)

 ◆本多 健亮(ほんだ・けんすけ)2001年5月19日、東京・杉並区生まれ。24歳。20年、麻布高から東大理科一類に現役合格。24年に工学部物理工学科を卒業し、東大大学院工学系研究科物理工学専攻に進学。研究テーマは「赤外パルスを用いた化学反応制御」。来年、博士課程に進む。「将来、企業に就職するか、研究者になるか、考えています」。ハーフマラソンの自己ベストは1時間3分42秒。167センチ、53キロ。

 ◆関東学生連合 予選会敗退校の選手で編成される。2003~13年の関東学連選抜(04年は日本学連選抜)が前身で、15年に再結成。各校1人で外国人留学生を除く。チーム、個人とも順位がつかないオープン参加。07~13年は公式順位が認められ、最高成績は08年の4位。タスキの色は白。前身の関東学連選抜で学習院大初の箱根ランナーとなった川内優輝(現プロランナー)ら個性派選手が生まれることが連合の魅力。