新たな大砲候補が千葉にやってくる。ロッテは9日、現役ドラフトで阪神から高卒6年目の井上広大外野手(24)を獲得した。1軍…

新たな大砲候補が千葉にやってくる。ロッテは9日、現役ドラフトで阪神から高卒6年目の井上広大外野手(24)を獲得した。1軍では通算45試合出場にとどまるが、昨季はウエスタン・リーグで打率3割8厘をマークし、首位打者を獲得。力強い打撃が魅力の右打ち外野手が、若手主体となりつつある新天地での活躍を誓った。

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長距離砲のレギュラー争いに待ったをかける。井上は大阪の名門・履正社出身で3年時には春夏連続で甲子園出場。夏は全6試合で4番に座り、3本塁打、14打点、打率3割8分5厘とチームを引っ張った。決勝では星稜(石川)・奥川(現ヤクルト)から逆転3ランを放ち、同校初の優勝に導いた。

19年ドラフト2位で阪神に入団すると、1年目から2軍で4番打者として存在感を発揮。ただ、1軍出場は24年の23試合が最多。今季は1試合にとどまった。なかなか1軍での活躍の場はなかったが、過去の現役ドラフトでDeNAから移籍した中日細川やソフトバンクから移籍の日本ハム水谷のように、環境が変わったことで花開く可能性は大いにある。ロッテには履正社の2学年上の安田がおり、再び同じユニホームを着てプレーすることになった。

ロッテは今季、借金28の最下位に沈んだ。ソト、ポランコの外国人コンビがけがや不振に悩まされたのが痛かった。一方で、山本、山口、西川、寺地など野手を中心に20代の若手が躍動した年となった。山本、山口、西川らに井上も加わり、右の長距離砲候補がさらにそろう形となる。ソト、ポランコは来季も残留するが、仮に2人がいなくとも、重量級打線を組める可能性が出てきた。井上獲得に、サブロー監督も「パンチ力のある選手。長打はうちには足りない部分でもあるので、おおいに期待をしています」と心待ちにする。

今秋はZOZOマリンでの秋季練習ではなく、宮崎・都城で6年ぶりとなるキャンプを慣行。指揮官は「攻撃的な問題もあり、守備、全てにおいて他の5球団には負けていると思うので、一からやり直していきたい。精神的にも肉体的にも強いチーム、強い選手たちになってほしい」と西岡チーフ打撃コーチらの下、徹底的に振りこませた。目指すチームカラーに井上はマッチする。24歳は「心機一転、ラストチャンスだと思って、結果にこだわって頑張ります」と気を引き締めた。ロッテに強力な風を吹き込む。【星夏穂】

◆井上広大(いのうえ・こうた)2001年(平13)8月12日生まれ、大阪府大東市出身。履正社では3年夏の甲子園決勝で星稜・奥川から本塁打を放つなど、初優勝の原動力に。高校通算49本塁打。19年ドラフト2位で阪神入団。5年目の24年8月28日DeNA戦で初本塁打。通算45試合、3本塁打、16打点、打率1割8分9厘。来季推定年俸1000万円。189センチ、100キロ。右投げ右打ち。

◆現役ドラフト 日本プロ野球選手会の要望に日本野球機構(NPB)が応じ、22年オフから導入。各球団は外国人選手、複数年契約選手、FA資格選手、育成選手などを除き、指名対象選手(来季年俸5000万円未満)2人以上のリストを提出。来季年俸5000万円以上1億円未満は1人認められ、その1人を含む場合は3人以上のリストを提出。各球団はリストの中から指名希望選手を議長に通知し、最も獲得票を集めた球団が最初に指名。その後は選手を取られた球団に指名権が移る流れを繰り返し、1巡目は必ず各球団1人が出て、1人が入る。2巡目は今回から「指名意思あり」「指名意思なし」「不参加」のいずれかを議長に通知。移籍の活発化を狙い、獲得意思がなくても放出のみで参加できる方式となった。リスト、会議は非公開。