「女子プロレス・スターダム」(8日、後楽園ホール) ワールド・オブ・スターダム王者の上谷沙弥がプロレス大賞への執念を示…
「女子プロレス・スターダム」(8日、後楽園ホール)
ワールド・オブ・スターダム王者の上谷沙弥がプロレス大賞への執念を示した。
この日は8人タッグで29日・両国大会で激突する挑戦者の安納サオリ、約7カ月ぶりに復帰した舞華らと8人タッグで激突。13分23秒、みちのくドライバー2からのエビ固めで舞華に3カウントを許した。
敗れた上谷は「舞華、よりによってお前かよ。でもな、たった1回の勝利で7カ月間の欠場の穴を埋められたと思うなよ。それにサオリ、スイッチ入るのが遅いんだよ。お前ら全員ぶっ潰してやるから」と怒りまくった。
そして話題を切り替え「プロレス大賞の発表がやってくる。普段の感謝の気持ちを込めて、感謝されるのはこっちなんだけどね」と唐突に金一封を取り出し、プロレス大賞選考委員に手渡した。極めて分かりやすい買収作戦に「男子プロレスラーには負けられないからな」と、気合をみなぎらせて引き揚げた。
今月中旬にプロレス大賞の選考会が行われる。上谷は「女子プロレス大賞」ではなく、男子レスラーを制した「プロレス大賞」を目標に掲げる。男子では竹下幸之介(新日本、DDT、AEW)、OZAWA(ノア)がライバル視されている。
単独取材に応じた上谷は「まあ、この一年を通して、どう考えても私しかいないでしょっていう感覚がある。リング内は当然のこと、リング外、世間にどれだけプロレスを届けたのか。私は誰にも負けていないし、自分のやってきたことに自信がある」と心境を語った。
今年4月に中野たむとの“敗者引退マッチ”を制し、ワールド王座を防衛。中野は実際に姿を消した。さらに地上波テレビのバラエティ番組でインパクトを残し、世間的認知度もアップ。9月には「ラヴィット!」(TBS系)で23年ぶりとなる女子プロレスの地上波生中継を実現させた。
上谷は「中野たむのプロレス人生を背負ってる。リングでも、別のメディアの活動をしてても、背中を押してくれていると感じているよ」と、自身をプロレス界に導いたたむに対する覚悟を口にした。
全ての転機は昨年7月のヒールターンだった。昨年6月にマリーゴールドに移籍した林下詩美からリーダーを引き継いだユニット、クイーンズ・クエストが解散に追い込まれた。直後のサイン会でファンに暴言を浴びせられ、心身ともにダメージを負った。
上谷はヒールターン前の状態を「SNSとかの言葉に流される自分がいた」と反省する。そして「自分と向き合った時、プロレスラーよりも先に人間として成長したいと思った。それをプロレスに置き換えた時、自分のやりたいことが分かったんだよ」とヒール転向を決断。批判を受けても「もう何を言われても関係ない。自分を信じ続けることができた」と、心が揺れることはなかった。
等身大で人間味あふれるヒール。リングで悪態をつき、不遜に勝ち誇る姿と、隠しきれない人の良さが支持を得た。
上谷には野望がある。「スターダムで東京ドーム興行を開きたい。その夢のために、プロレス大賞、MVPは弾みになる。女子プロレスを野球、サッカー、バスケットボールのようにメジャーにしてやるよ!」。力強く言い切った。