伝統の箱根駅伝は来年1月2、3日に第102回大会を迎える。スポーツ報知では出場する全21チームを連載で特集する。第1回…

 伝統の箱根駅伝は来年1月2、3日に第102回大会を迎える。スポーツ報知では出場する全21チームを連載で特集する。第1回は3年連続9度目の優勝を狙う青学大。マラソン日本学生記録(2時間6分5秒)を持つエースで主将の黒田朝日(4年)は今大会の主役候補だ。これまで学生3大駅伝8戦で全て主要区間を担い、平均区間順位は1・6位。学生駅伝ラストレースを全力で走り切った後は別府大分毎日マラソン(来年2月1日)に出場予定。「箱根から世界へ」を体現する。

 12月上旬に千葉県内で行われた恒例の選抜合宿。最後の練習を終え、主将の黒田朝はチームメートに力強く呼びかけた。

 「とてもいい練習ができた。残り1か月、『勝つのは自分たちだ』と言えることをやっていきましょう」

 前回、4~6区で圧倒的な3連続区間賞で優勝に貢献した太田蒼生、若林宏樹、野村昭夢ら強力な世代が卒業。現チームが始動した今年1月、原晋監督(58)は「次は厳しい」と話していたが、地道に走り込み、3連覇を狙える戦力に成長した。11月22日のMARCH対抗戦1万メートルでは黒田朝を筆頭に5人が27分台をマーク。上位10人の平均タイムは昨季の28分20秒04から28分1秒01と約19秒も向上した。「昨季のチームは強かったですが、タイムで言えば今季のチームは劣っていません」と主将は力強く話す。

 学生3大駅伝に8戦出場し、区間賞5回、区間新記録4回。平均順位は1・6位。原監督から「駅伝男」と呼ばれるゆえんだ。箱根では2年連続で「花の2区」を走り、2年時は1時間6分7秒で区間賞。3年時は区間3位ながら従来の区間記録(1時間5分49秒)を超える1時間5分44秒で走破した。今大会も2区が濃厚で「昨季より力がつきました。前回と同じ気象条件であれば区間記録(1時間5分31秒)の更新を狙えると思います」と冷静な表情で見通した。

 箱根駅伝は1920年に金栗四三氏らが「世界で通用する選手を育成する」という思いで創設し、「箱根から世界へ」が大会理念。黒田朝はそれを体現する。学生駅伝ラストレースの約1か月後には、別府大分毎日で2度目のマラソンに挑む予定だ。今年2月の大阪では日本学生記録の2時間6分5秒で6位。「次はタイムより順位を狙います」。順当に力を出せば28年ロス五輪日本代表選考レース(MGC、27年秋)の出場資格(2時間9分以内で日本人6位以内)をクリアするだろう。

 箱根2区中継所手前の急な上り坂「戸塚の壁」を乗り越えて有終の美を飾り、黒田朝日は次の世界へ進む。(竹内 達朗)

 ◆黒田 朝日(くろだ・あさひ)2004年3月10日、岡山市生まれ。21歳。岡山・玉野光南高3年時に全国高校総体3000メートル障害2位。22年、青学大地球社会共生学部に入学。来春の卒業後はGMOインターネットグループに進む。父の将由さんは法大時代に箱根駅伝で活躍。弟の然は青学大2年。妹の六花(りっか)は宮城・仙台育英高2年で今年の全国高校総体1500メートル11位(日本人7位)。166センチ、50キロ。