元日本代表MF高橋秀人(38)が8日、自身のインスタグラムで今季限りで現役を引退すると発表した。   ◇   ◇   ◇…

元日本代表MF高橋秀人(38)が8日、自身のインスタグラムで今季限りで現役を引退すると発表した。

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長文のコメントからも分かるように、周囲への気遣いを忘れず、とにかく後輩思いな人だった。親交があるわけではないが、記者にとって高橋さんは東京学芸大学の大先輩。在学年は重なっていないが、私が学生だった頃に日本代表へ選出されたこともあり、憧れのレジェンドだった。

初めてお会いしたのは大学1年の時。アルバイト先の飲食店に高橋さんが1人で訪れたことがあった。プライベート中に申し訳ない気持ちもありながら、お茶を出すときに「大学の後輩です」とこっそり声をかけた。高橋さんから「そうか! いつも結果は追っているよ。OBみんな気にしているから頑張ってね」と優しく声をかけてもらったことが記憶に残っている。

大学2年時には高橋さんが「後輩たちとOBをつなげる会を開きたい」と最寄り駅にあったサッカー部の聖地的な飲食店「あっぱれ」(現在は閉業)を貸し切った。当時大学4年で、同じく今季限りで現役を退いたJ2カターレ富山MF佐々木陽次さんから誘いの連絡を受けて行くと、さまざまな業種のOBが集まっていた。ざっくばらんな進路相談の場が広がっていた。

教員養成大学で、教員を目指す学生が多い中で、一般企業に勤める選択肢を増やしてもらった。もちろん教員の先輩もいて、リアルな働き方の比較をできた。

その後、悩んだ末に私は新聞記者になった。サッカー界に携わるようになった頃に、高橋さんはすでにニュージーランドにいたため取材する機会はなかった。 引退に際したコメントで「現在はニュージーランドでプレーと指導を並行する日々ですが、プロ選手とアマチュア選手としての価値観の違い、そして選手と指導者を兼任できた視点、さらに日本と海外でプレーできた日本人としての誇りが、今後の活動の軸になると確信しています」。サッカー界にいる限り、また会う機会があると信じている。その際は、あの時の御礼とおつかれさまでしたと伝えたい。【佐藤成】

コメント全文は次の通り。

「お知らせ」

このたび、高橋秀人は2025シーズンをもちましてサッカー選手を引退する決断をいたしましたので、この場を借りてご報告申し上げます。

プロサッカー選手として13年間、アマチュア選手として3年間、16年の歩みを振り返ると、クラブやチームメート、コーチングスタッフ、ビジネススタッフ、ホペイロやマネジャー、スポンサーや行政の皆さま、JFA、Jリーグ、そして多くのファン・サポーターの皆さまのおかげで、言葉にすることができないほど貴重で充実した経験ができました。改めて心より感謝申し上げます。

FC東京、ヴィッセル神戸、サガン鳥栖、横浜FC、Auckland United FCと在籍させていただいたそれぞれのクラブには、色あせることのない思い出がたくさんあります。また、私の成長を支えてくださった伊勢崎市SFCイレブン、図南SCジュニアユース、前橋商業高校、東京学芸大学の関係者の皆さまにも深く感謝しています。

かつて自分には自信がなく、プロを諦めかけて教員の道を目指していた時期がありました。それがここまで長くプレーできたのは、夢を諦めない決意と努力の大切さを教えてくれた皆さんのおかげです。

現在はニュージーランドでプレーと指導を並行する日々ですが、プロ選手とアマチュア選手としての価値観の違い、そして選手と指導者を兼任できた視点、さらに日本と海外でプレーできた日本人としての誇りが、今後の活動の軸になると確信しています。

最後に、私の健康に気を使い私を育ててくれた両親へ、そして陰ながら寄り添ってくれた妻と子供たちへ、改めて感謝しています。

皆さまと、いつかまたスタジアムで直接お会いできる日をとても楽しみにしています。