【ケロウナ(カナダ)=飯岡大暉】カーリング女子日本代表(世界ランキング5位)のフォルティウスが無傷の4連勝を飾った。第3…
【ケロウナ(カナダ)=飯岡大暉】カーリング女子日本代表(世界ランキング5位)のフォルティウスが無傷の4連勝を飾った。第3戦でオーストラリア(同24位)に7-5。セカンドで緊急登板したリザーブの小林未奈(23)が好プレーを連発。腰痛で欠場したサード小野寺の代役を務め、劇的勝利につなげた。第4戦はチェコ(同15位)を10-3で撃破。唯一の開幕4連勝として、上位3チームが進むプレーオフに向けてあと1勝を目安とした。残り2枠の五輪へ、切り札が道を切り開く。
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緊張をかき消すように笑った。第1エンド、初出場のセカンド小林が1投目を優しく放った。手前の石をすり抜け、相手の石にヒット。スキップ吉村から「ナイスー!」と声をかけられると、左手でブラシを2度掲げてほほ笑んだ。五輪につながる大会の1投目を無事に成功。試合後の第一声は「緊張しました」。チーム最年少23歳で「みなちゃん」と愛される妹分が、白星にほっとした表情を見せた。
緊急登板だった。開幕前日、サード小野寺が腰痛を発症。初日から2戦出場したが、不安は残った。五輪枠獲得へ先は長い。調子の良さを買われ起用された。準備はしていたが、いざ前日夜に伝えられると武者震い。「初めての最終予選で緊張した。昨日からあんまり寝られなかった」と告白。「五輪出場枠がかかる大会で昨日、一昨日とみんなが連勝でつないでくれた。絶対に勝ちたかった」。大舞台でショット成功率90%をマーク。吉村からは「本当にいい活躍。すごくのびのびとやっていた。どんな時でもパフォーマンスを発揮できる準備をしてくれた」と絶賛された。りりしい表情の多いチームで、トレードマークの笑顔を何度も披露。新しい色を示した。
苦しいときこそ出番だ。21年12月に加入。北海道銀行のスポンサー契約が11月末で終了し、路頭に迷う時期だった。吉村から誘われ、苦境は理解しつつも決断。チームに飛び込んだ。4人しか氷に立てない競技の5人目。コートを着てコーチ席で待機し、歯がゆさもあった。それでもチームに貢献。毎晩、試合後に夜練習を実施。翌日、試合が行われる氷の状態を確認し仲間に伝える役目を担った。
第4戦は小野寺が復帰。再び自席に戻ったが、試合後はいつも通りに“延長戦”。試合終了後1時間以上たった午後10時半まで石を投げ続けた。この先の出番は不透明だが「予選1位で通過して絶対に枠を取る。変わらずいい心と体の準備を進めたい」。五輪の舞台で、とびきりの笑顔を見せる。
◆小林未奈(こばやし・みな)2002年(平14)7月20日、北海道釧路市生まれ。小学4年で競技を始める。札幌東高-北海道ハイテクノロジー専門学校。20年ユース五輪で混合団体銀メダル。21年12月にフォルティウス加入。北海道から冬季オリンピアン輩出を目指す「タレントアスリート発掘・育成事業」卒業生。スポーツトレーナーの資格を持つ。加茂川啓明電機所属。163センチ。
◆26年ミラノ・コルティナ五輪への道 五輪は10カ国が出場し、開催国イタリアを含む8枠がすでに決定。残り2枠を最終予選で争う。8チーム総当たりの1次リーグを行い、上位3チームがプレーオフ進出。予選1位と2位が戦い、勝者は五輪へ。敗者は予選3位との決定戦に回り、勝てば最後の切符を手にする。