スポーツ報知は、鹿島の9季ぶりVの軌跡を振り返る企画として「鹿島番記者座談会」を開催した。エルゴラッソの鹿島担当・田中…
スポーツ報知は、鹿島の9季ぶりVの軌跡を振り返る企画として「鹿島番記者座談会」を開催した。エルゴラッソの鹿島担当・田中滋さん、茨城新聞社の鹿島担当・海老澤裕太郎さんを迎え、本紙・岡島智哉記者とともに激論を交わした。
前編のテーマは【転機となった試合】【鬼木監督のココがすごい!】【取材現場で印象に残った言葉】。
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◆転機となった試合◆
岡島「【第2節東京V戦(4〇0)】ですかね、やっぱり」
田中「同じく!【第2節東京V戦(4〇0)】の勝利は大きかった」
岡島「開幕戦の湘南(0●1)、開幕直前の水戸(1△1)、キャンプの岡山(3●4)と…。我慢の1年になることも覚悟するような内容だったので」
田中「開幕戦が逆にびっくりで。鬼木さんが来てもこれか、と。やろうとしていることは何となくわかるけど…ってシーズンが今年も始まったのかなと」
岡島「あそこで『技術を上達させつつ、その時々の最善の方法で勝つ』という戦い方が定まりました」
海老澤「優磨選手が『あそこから鬼木監督のチームへのアプローチが変わった』と後に話していましたね」
田中「あれだけガラッと変わるとは。鬼木達の腹のくくり方はすごいなと思いました」
岡島「レオセアラ選手と優磨選手が2点ずつってのも大きかった。始動からずっと呼吸が合わず、レオは今年点取れるのか?とも正直思っていたので…(笑)」
海老澤「自分は【第11節岡山戦(2〇1)】です」
田中/岡島「わかります!」
海老澤「公式戦4連敗で迎え、ここを落とすとまずいなって雰囲気があった試合。師岡選手がけがをしてしまったものの、代わりに出たターレス選手が決勝点」
岡島「試合後、海老澤くんと握手したのを覚えてます。普段しないのに(笑)」
海老澤「しましたね(笑)。あそこから連勝しましたし、あの勝利は大きかった。1点目は津久井選手がアシスト、2点目も舩橋選手のスルーパスからでした」
岡島「ポポヴィッチ体制のBチームCBコンビ…!」
海老澤「若手の躍動という意味でも大きい試合でした。あそこで勝てなかったら今はなかったとも思いますね」
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◆鬼木監督のココがすごい!◆
海老澤「一言で言うなら【信じる力】ですね。選手に対するアプローチが上手く、選手たちの表情が去年と比べて全然違います」
岡島「控えに回る選手たちのモチベーションの高さは素晴らしかったですよね」
海老澤「『君たちを信じている』ということを、分け隔てなく、選手に伝えているからだろうなと」
田中「自分は【5連勝】。公式戦4連敗中だった岡山戦前に『ここから5連勝する』と言い切った。『勝てなかったらどうするんですか』って質問には『そんなことは考えてない』と。とにかく勝つことしか考えてなかった」
岡島「そしてそこから7連勝」
田中「逃げ場をつくらない。そりゃ、ついて行きたくなるよなって思います」
岡島「僕は【血】。もっと川崎っぽいチームになるかなと思っていたんです。川崎での成功体験をもっと前面に出すだろうと。でもそっちはあくまで枝葉で『鹿島らしさ』が幹」
海老澤「『魅了する』というのは、必ずしも質や技術だけの話だけじゃないんだなって思いましたね」
岡島「こんなに『鹿島の男』だったのかと。驚きがありましたね」
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◆取材で胸に響いた言葉◆
海老澤「鬼木監督の【信じてるから】。出番に恵まれない荒木選手に関する質問に対する答えでした。聞いた瞬間、鳥肌が立ちました」
岡島「荒木選手も終盤、信頼に応えましたよね」
海老澤「もう1つは【強くなってるよ】。ホーム広島戦後、優磨選手が取材エリアの去り際にニヤっとしながら。リップサービスではなく、本音だなと」
田中「自分は【直接ぶっ倒したらいい】で」
岡島「by植田直通ですね。G大阪戦のドロー直後、神戸&京都の連戦を見据えた言葉」
田中「結局引き分けで倒せはしなかったけど、植田選手らしい言葉だったなと」
岡島「G大阪戦はPK失敗でのドローだったこともあり、試合後もチームの雰囲気が若干重かったですよね」
田中「チームの屋台骨の1人がこういうコメントを出したことは、すごくよかったなと。この言葉は、すごくみんなの支えになったと思っています」
岡島「自分は変化球ですが【NEO鹿島だね】という言葉。某クラブのコーチと試合後に雑談していた時に聞いた言葉で。鹿島の印象を尋ねた時に『NEO』だね、と。『NEW』ではなく『NEO』。新しい鹿島ではなく、軸やカラーを変えないまま進化しているな、と」
海老澤「なるほど」
岡島「その方曰く『NEW』なら監督1年目だし対策はできるけど『NEO』だから大変なんだ、と。『鹿島ver2025』が、うまく自分の中で言語化できた瞬間でした」
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後編テーマは「MVP」「陰のMVP」について。誠実に、献身の姿勢で、尊重の思いを胸に、余談も挟みながら激論を交わしています。配信をお楽しみに。(進行・構成 岡島 智哉)