<J1昇格PO:千葉4-3大宮>◇7日◇準決勝◇フクアリJ2で3位の千葉が、17年ぶりのJ1昇格に王手をかけた。同6位の…

<J1昇格PO:千葉4-3大宮>◇7日◇準決勝◇フクアリ

J2で3位の千葉が、17年ぶりのJ1昇格に王手をかけた。同6位の大宮に0-3とリードを許しながら、後半26分から一挙4点を奪い、4-3の劇的な逆転勝利を収めた。10月16日にプロ契約を締結した17歳MF姫野誠が、デビュー戦で値千金の同点ゴールを決め勝利の立役者となった。同4位の徳島は1-1で同5位の磐田と引き分け、シーズン上位を勝者とする規定により勝ち上がった。13日の決勝(フクアリ)は千葉-徳島の顔合わせとなった。

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ニューカマーが衝撃的なデビューを飾った。「思い切りやってこい!」。3点を追う後半15分、小林監督が交代1枚目で送り出したのは姫野だった。

この投入とともに流れが変わった。1点差まで迫った後半37分、姫野は右からのカットインで2人をかわして左足シュート。惜しくも外れたが完全にゴールへの道筋が見えた。直後の同38分、FW米倉が出した浮き球パス。胸で受けるとドリブルで相手2選手の間をすり抜け、GKの意表を突く左足ループシュートでゴールネットを揺さぶった。

3-3。1万7074人超満員のフクアリは蜂の巣をつついたような大騒ぎ。無理もない。3点のビハインドからの同点であり、規定上この時点で千葉が勝ち抜ける権利を得たのだから。しかもプロデビューの高校2年生がやってのけた大仕事。会場の熱気が後押しするように、4分後にはCKからDF河野が勝ち越し点を挙げた。ミラクルと呼べる劇的な勝利だった。

姫野は「米倉さんがよく見てくれていたので(得点で)返せて良かった。このスタジアムがつくってくれる雰囲気はすごい。ずっと目標にしていた舞台で点まで取れて、すごくいい光景でした」。17歳、プロ初ゴールがループシュート。くしくも思い出すのはバルセロナのメッシ。05年5月、ロナウジーニョのパスから冷静に左足キックで浮かせ、GKの頭上を抜いた。17歳でバルサでの初ゴールを決め、今日までの伝説が始まった。

20歳差の米倉はこう舌を巻いた。「スター性がある。高2が胸トラップからあそこをぶっちぎっていけるというのはすごい。17歳のホープが出てくると、やっぱりスタジアムが盛り上がる」。賛辞は止まらなかった。

10月に飛び級でプロ契約を結びトップチームに合流。小林監督は「今週は明らかに目の色が変わりメンバーに入るんだという気持ちが伝わった」と意図を明かした。一方で話題が先行することにはクギを刺す。「ピッチに立てば関係ないけど17歳なので、そういうところに触れすぎないようにしてほしい。まだ僕たちのシーズンは続いている」。

昇格POでの3点差逆転勝利は史上初なら、残り20分からの4得点も初めて。誰もが口にする「フクアリで戦えることが最大のアドバンテージ」の通りとなった。そしてニューヒーローの登場は間違いなくチームの勢いを加速させる。17年ぶりのJ1復帰へ、連帯のジェフユナイテッドが力強く突き進む。【佐藤隆志】

◆姫野誠(ひめの・まこと)2008年(平20)8月12日生まれ。千葉市出身。幕張リバティーズ、ジェフユナイテッド市原・千葉U-12、同U-15、同U-18を経て高校2年生ながらトップチームに飛び級で昇格。左右両足を使えるドリブラーでサイドが主戦場。ベスト8入りした11月のU-17W杯カタール大会に出場。尊敬する人はMLBドジャースの大谷翔平。理由は「世界で活躍している日本人だから」。野球を見るのも好き。座右の銘は「置かれた場所で咲きなさい」。171センチ、66キロ。