◆第26回チャンピオンズC・G1(12月7日、中京競馬場・ダート1800メートル) 第26回チャンピオンズC・G1は7日…

◆第26回チャンピオンズC・G1(12月7日、中京競馬場・ダート1800メートル)

 第26回チャンピオンズC・G1は7日、中京競馬場で行われ、単勝3番人気のダブルハートボンドが直線の叩き合いを約9センチ差で制し、牝馬として10年ぶり2頭目の勝利でG1初挑戦制覇を飾った。手綱を執った坂井瑠星騎手(28)=栗東・矢作厩舎=は23、24年のレモンポップに続く同レース3連覇。フォーエバーヤングのブリーダーズCクラシック・米G1に加え、JRAでも騎乗馬をダート界の頂点に導いた。

 わずか約9センチ差で“頂点”をつかんだ。歓声と悲鳴が交錯したゴール前。ダブルハートボンドが、迫り来るウィルソンテソーロに並ばれると再び闘志を燃やした。坂井の激しいアクションに応えるように、もうひと伸びして、先頭は最後まで譲らなかった。「全く分からなかった」と鞍上。「2着かと思ってガッカリしていた」と大久保調教師も一度は肩を落としたほどの大接戦。制した4歳牝馬の額には2つのハートが輝いていた。

 10年ぶり2頭目の女王誕生。戦前の予想通り、楽な道のりではなかった。2番枠からスタートを決めたが、最内枠のウィリアムバローズがハナを主張。外からかかり気味にシックスペンスもハナ争いに絡んできた。「あれ以上いくとオーバーペースになってしまう」。坂井は手綱を押さえ、冷静に離れた3番手でレースを進めることを選択。手応え良く直線を向くと、最後はパートナーの力を信じて追い続けた。

 「(道中が)スムーズだったぶん、最後も脚を使ってくれた」。並み居る牡馬のライバルたちを退けた。鞍上は23、24年のレモンポップに続き、当レース初の3連覇。フォーエバーヤングのブリーダーズCクラシックに続き、日米で相棒をダート界のトップに導いた。「何回勝ってもうれしいですし、僕が3連覇したことよりも、ダブルハートボンドがG1を勝つことができたことがうれしい」と喜んだ。大久保調教師は「闘病している(前任者の)谷口(辰夫助手)もこれを見て頑張ってくれれば」と厩舎スタッフを思いやった。

 脚元の不安でデビューすら危ぶまれ、ここまで大事に使われてきた。今後は海外ではなく、国内戦が中心になる見込みだが、キャリアわずか8戦で、伸びしろもたっぷりだ。「(この馬と)4連覇、5連覇したいです」と坂井。かわいい外見とは裏腹に、真の強さも持ち合わせるダブルハートボンドには明るい未来が待っている。(戸田 和彦)

 ◆ダブルハートボンド 父キズナ、母パーシステントリー(父スモークグラッケン)。栗東・大久保龍志厩舎所属の牝4歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算8戦7勝(うち地方1戦0勝)。主な勝ち鞍は25年みやこS・G3。総獲得賞金は2億4509万4000円(うち地方1085万円)。馬主は(有)シルクレーシング。