柔道のパリ五輪女子48キロ級金メダルの角田夏実(33)=SBC湘南美容クリニック=が引退の意向を固めたことが7日、分か…

 柔道のパリ五輪女子48キロ級金メダルの角田夏実(33)=SBC湘南美容クリニック=が引退の意向を固めたことが7日、分かった。近日中に会見を開く予定。全日本柔道連盟(全柔連)関係者が都内で取材に応じ、明かした。

 花の都で誕生した“遅咲きのヒロイン”が決断を下した。この日、角田はグランドスラム東京大会のエキシビションマッチに登場。小学生に代名詞のともえ投げをかけ、鮮やかに一本を奪うなど充実した表情を浮かべた。去就について問われると「そろそろ発表とか、手続きをしている」と明言は避けたが、関係者によると引退の意向を固めたという。

 8歳から柔道を開始。推薦を受けた東京学芸大の進学を機に才能が開花した。52キロ級では東京五輪出場を逃して引退も考えたが、19年に最軽量級への階級変更を決断して大きく飛躍。ともえ投げと腕ひしぎ十字固めの二大必殺技を武器に、21年から世界選手権3連覇すると、初出場のパリ五輪では日本柔道史上最年長の31歳11カ月で優勝。同時に夏季五輪の日本勢通算500個目のメダルという節目の記録も刻んだ。

 競技成績もさることながら、愛らしいキャラクターも相まって人気に火が付き、五輪後はテレビやイベントに引っ張りだこ。選手としては2月のグランドスラムバクー大会、無差別で争う全日本女子選手権に出場したが、今夏の世界選手権は辞退するなど第一線の舞台は避けてきていた。

 連盟関係者は「五輪を目指すことがどれだけ大変か分かっていると思う。しっかりと考えて思いが固まってきたのかな」と推察する。強化選手辞退届はまだ提出されていない。取材時に「ゆっくりと考えたい」「柔道が好き」と繰り返し、五輪後から1年以上も競技継続を熟考してきた角田。近日中に予定している会見で思いの内を語る。

 ◆角田夏実(つのだ・なつみ)1992年8月6日、千葉県出身。8歳から柔道を始め、八千代高2年時に全国高校総体3位。東京学芸大3年時の全日本学生大会で優勝した。52キロ級時代は16年講道館杯で初優勝し、初出場の17年世界選手権で銀メダル。19年に48キロ級に転向し、21年から世界選手権3連覇。31歳11カ月で臨んだパリ五輪で、日本女子最年長となる金メダルを獲得した。左組みで得意技はともえ投げ、腕ひしぎ十字固め。162センチ。