<関東大学ラグビー対抗戦:明治大25-19早稲田大>◇7日◇最終節◇東京・国立競技場明大が伝統の「早明戦」を制し、5年ぶ…

<関東大学ラグビー対抗戦:明治大25-19早稲田大>◇7日◇最終節◇東京・国立競技場

明大が伝統の「早明戦」を制し、5年ぶり19度目の頂点に立った。ともに勝利で優勝が決まる大一番で、早大を25-19と振り切った。

一進一退の攻防でフランカー最上太尊(たいそん、4年=仙台育英)が2トライ。受け継がれる精神「前へ」を全身で体現し、101回目の定期戦で通算成績を43勝56敗2分けとした。7季ぶり優勝を目指す全国大学選手権は20日の準々決勝から登場となり、関学大(関西3位)と福岡工大(九州)の勝者を迎え撃つ。

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倒れた瞬間に、トライが見えた。18-16の後半31分。明大は“重戦車FW”がモールを押し込み、止まったところを最上が左に持ち出した。タックルを受けながら、右手1本でインゴールにボールを置いた。代々受け継がれる「前へ」の精神。最後は6点差に迫られながらも、全員で守り抜いた。前半31分にもラック際をこじ開け、計2トライした男は「今日、早稲田さんに勝つことで、日本一奪還のスタートラインに立ったと思う」とプレーヤー・オブ・ザ・マッチを喜んだ。

秋田で育ち、小学4年時には相撲で県優勝を飾った。ボクシング元世界ヘビー級統一王者マイク・タイソンが命名の理由で「名前通りになれれば」と願った少年。中学で始めたラグビーでも頭角を示し、仙台育英高を経て、FW自慢の明大に飛び込んだ。ライバル早大は日本代表FB矢崎を中心に、スピードあふれる攻撃を仕掛けてきた。それでもぶれず「モールに自信がある。そこを起点にトライを取りたかった。明治の『前へ』は一番大事なプライド。絶対にFWが前に出ないといけないと思った」とこだわりを捨てなかった。

この日、国立のロッカールームにはメンバー1人1人に向け、仲間からの寄せ書き色紙が置いてあった。8月の夏合宿では20歳未満の学生1人を含む飲酒があり、一部活動停止で襟を正した。対抗戦初戦では筑波大に24-28で敗戦。それでも11月16日に帝京大から5年ぶり勝利を挙げるなど、結束を深めていった。自身は3年だった昨季の全国大学選手権準決勝にもフル出場し、帝京大に8点差で敗れた。リベンジに燃える。

「悔しさは常に覚えています。選手権も全部勝って、日本一に必ずなります」

泣いても笑っても、残り3試合。プライドをぶつける戦いは続く。【松本航】