「柔道・グランドスラム東京大会」(6日、東京体育館) 試合会場で引退選手セレモニーが行われ、今年6月に引退し、新日本プ…
「柔道・グランドスラム東京大会」(6日、東京体育館)
試合会場で引退選手セレモニーが行われ、今年6月に引退し、新日本プロレスに入団した21年東京五輪男子100キロ級金メダルのウルフアロン(29)が出席した。国内で開催される唯一の国際大会の畳に上がった元五輪王者は「プロレスラーのウルフアロンです」と異例の自己紹介。「23年間柔道で培ったことは、新しいプロレスの道に進んだ僕の中にも生き続けています。1月4日東京ドームでデビューしますが、(完売後の追加販売分の)チケットがあと少し残ってます。なので、今のうちに早めにお買い求めください」とちゃっかりPRもしつつ、「これからも柔道が僕のバックボーンであることは変わりがない。柔道家としての一面も持ちながら新しい道で頑張っていきます」と抱負を述べ、温かい拍手を受けた。
プロレスラーとして里帰りしたウルフは会場で柔道関係者らと旧交を温めたものの、現役選手への配慮も忘れなかった。この日はかつて主戦場だった男子100キロ級など計7階級が実施されたものの「(選手の)控え室とかには行かない」と明かし、「逆の立場で考えた時に、引退した人は緊張感がないので(場違いになる)。(今大会は)僕の試合じゃないので、この状況で行くのはチームの和を乱すと思うので」と、かつての仲間をはじめとした現役選手をおもんぱかった。
全日本柔道連盟(全柔連)の規定では柔道と並行してプロ格闘技に取り組むことは禁止されており、プロ活動中は登録停止となるが、功労者として温かく迎え入れられた。セレモニーでは、ウルフが6歳で入門した講道館の春日クラブの恩師、向井幹博さん(63)から「柔道で学んだこと、培った力を新しい世界で大きく輝くことを使えることを心から願っています。この畳の上でプロレスの世界に羽ばたくあなたに祝福の言葉を贈れることを幸せに思います」と熱い“贈る言葉”を受け、あらためて柔道界から卒業した。
ウルフは「こうやって柔道界から去ってプロレスをやっている中、今でも表彰してくれるのはすごくありがたいこと」と感慨深げ。以前はプロ転向に厳しい視線が向けられた時代もあったが、「時代は変わってきていると思う。こういう風に先生方や先輩や後輩が1人1人声を掛けてくれるのはありがたい。ちゃんと柔道界が僕のことを送り出してくれていると感じるので、それも全て(プロレスへの)力に変えていきたい。別に後ろめたいことをしているわけじゃないので、お互い正々堂々としていればいい」とうなずいた。
来年1月4日東京ドーム大会でのデビュー戦では、いきなりNEVER無差別級王者のEVILに挑戦することが決まっている。この日も午前中は道場で練習してきたという超大物ルーキーは「柔道でやってきたバックボーンは変わらない。これまで培ったきたものを生かしてプロレスを続けていきたい。あと1カ月、ある程度自分のスタイルだったりを練っているような段階。もっとレベルアップしていきたい」と決意を込めた。