<プロボクシング:WBOアジア・パシフィック・フェザー級タイトルマッチ10回戦>◇6日◇東京・後楽園ホールWBOアジア・…

<プロボクシング:WBOアジア・パシフィック・フェザー級タイトルマッチ10回戦>◇6日◇東京・後楽園ホール

WBOアジア・パシフィック・フェザー級王者藤田健児(31=帝拳)が4度目の防衛に成功した。プロ10戦目で所属ジム興行「DYNAMIC GLOVE on U-NEXT」のメインで登場。同級8位の元東洋太平洋スーパーバンタム級王者ペテ・アポリナル(30=フィリピン)の挑戦を受け、3-0(97-93×2、99-91)の判定勝利を収めた。藤田は「アポリナル選手が強くて苦しい展開もあった。最後まで糸口みつけて倒そうと思ったので悔いが残る。ベルトが戻ってくるのは当たり前」と素直に喜ばなかった。

左ボディーストレート、右フックを効果的に打ち込んだ藤田が、常に主導権を握った。ノーモーションの右を狙いながら反撃するタフな挑戦者に対して冷静に対処。6回にはお互いに踏み込んで偶然のバッティングが起こり、30秒間の休憩が入るなど後半は接近戦が増えたものので、細かい連打と右フック連発で攻め込んで快勝した。

採点でも内容でも圧勝と言える展開だったが、藤田が狙っていたのは「25年全KO勝ち」だった。アマチュア10冠の実績を残してプロ転向10戦目で、プロ初の年間3試合。1月にTKO、7月にKOを奪っており、今回は「KO締め」を意識していた。藤田は「判定じゃだめかなと思う。今は持ち味のフットワークや(相手を)いなすスタイルを持ちつつ、攻撃力を出していくというのが課題。まだ発揮できていない。これから発揮できれば問題なく世界と言っていいのではないかと思う」と現時点の課題も口にした。

今夏には同じ年齢でアマチュア時代にナショナルチームで一緒だった現4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)と初めてスパーリングを経験した。藤田は「自分の方が上の階級でプライドがあったので、どんどん打ってこい来いと思ったが、違うところで勝負してきた。パワーではなく、技術で。そこらへんのIQの高さをみせつけられた。自分でも通じるところもあった。楽しいし、1つレベルアップできたなと思えた」と振り返った。

現在、世界ランキングではWBO3位に入る。藤田は「正直、世界の強敵に勝ったわけではない。世界王者とやるために、もう1段階、世界レベルとやる必要があるかなと思う。そのために日々努力します」と口元を引き締めた。26年は「世界」に近づくための1年となる。藤田は「チャンスがいればいつでもいく準備をしないといけない。世界3位に上がらせてもらっているが、ここから自動的に上がることはない。実力で世界王者に目をつけてもらわないといけない。どんな相手でも勝てるように日々練習しないといけない」と向上心を口にした。