◆プロボクシング ▽WBOアジアパシフィック・フェザー級(57・1キロ以下)タイトルマッチ10回戦 〇王者・藤田健児(判…

◆プロボクシング ▽WBOアジアパシフィック・フェザー級(57・1キロ以下)タイトルマッチ10回戦 〇王者・藤田健児(判定)同級8位ペテ・アポリナル●(12月6日、東京・後楽園ホール)

 WBOアジアパシフィック・フェザー級王者・藤田健児(31)=帝拳=がペテ・アポリナル(30)=フィリピン=を3―0の判定で下し、4度目の防衛に成功。デビューから無傷の10連勝(5KO)を飾った。

 初めてメインイベンターを務めた藤田は、左の強打で何度もアポリナルをぐらつかせて大差判定勝ち。それでもタフな挑戦者をKOできず、試合後は「判定じゃだめかな。力の差を見せたかった」と悔やんだ。

 KO勝利にこだわる理由のひとつに、同じ年齢でアマチュア時代にナショナルチームで切磋琢磨(せっさたくま)した世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(32)=大橋=の存在がある。試合後の控室で、藤田は冗談交じりに話した。

 「インパクトですね。もう分かりやすく。皆さんご存知か分かんないですけど、僕の同い年に井上尚弥っていうモンスターがいるんです。彼のせいで日本ボクシング界は、選手にいい影響なのか悪い影響なのか、倒すことが当たり前になっている。そのおかげで、日本ボクシング界はいい方向に行ってるんで、そこの流れに乗ろうっていう感じですかね」

 アマチュア10冠の実績を誇り、本来はフットワークを駆使する技巧派だが「やっぱり倒していかないと。玄人受けのうまいボクシングしてもいいと思うんすけど、それはもう自己満足でしかないなと最近思ってきた。泥臭くても、倒しにいこうと思うようになった」と打ち明けた。

 今夏に2度、WBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との防衛戦を控えた尚弥とスパーリングを行った。

 「やっぱり緊張感がありましたね。僕の方が階級が上なんでプライドがあって、いくらでも打ってこい、と思ったんすけど。やっぱりそれはそれでまた違うところで、パワーじゃない技術で勝負してくる。そういう技術やIQの高さっていうのは見せつけられました。でも自分でも通じるところはあった。楽しいというか、そこで1つレベルアップできたなってのはありますね」

 世界ランクはWBO3位につける。「ここから先は自動的に上がるなんてことはないと思う。実力で上がっていかないといけないですし、実力でチャンピオンに認めてもらわないといけない。どういう相手でも対応できるように日々の練習をしていかないといけないと思う」。世界を見据え、さらなる進化を目指す。

 戦績は藤田が10戦全勝(5KO)、アポリナルが18勝(11KO)7敗1分け。