「柔道・グランドスラム東京大会」(6日、東京体育館) 女子52キロ級決勝が行われ、25年世界選手権女王の阿部詩(パーク…
「柔道・グランドスラム東京大会」(6日、東京体育館)
女子52キロ級決勝が行われ、25年世界選手権女王の阿部詩(パーク24)が、坪根菜々子(自衛隊)に優勢勝ちして23年大会以来5度目の優勝を飾り、26年世界選手権(同10月、バクー)代表に内定した。失意の底に沈んだパリ五輪の翌年。出場した4大会を全て制し、2025年を無敗で締めくくり、「次につなげることができて安心している」とうなずいた。
モンゴル選手との1回戦は袖釣り込み腰で技ありを奪って優勢勝ちし、続く大森生純(JR東日本)との準々決勝も有効を守り切って勝利した。決勝は坪根と対戦。2分過ぎに大外刈りで有効を奪って勝負を決めた。
試合後には、ろっ骨を折っていたことを告白。痛みは10月から感じていたが、大会2週間目に判明したという。不安にも襲われて棄権もよぎったが、それでも出場を決意したのは「ロサンゼルス五輪のことを考えると、靱帯(じんたい)が切れていても畳に立たないといけない」と強い覚悟があったから。「寝技にならないで立ち技でやるしかない」と戦術を絞り、優勝をつかんで見せた。
2回戦敗退で涙に暮れたパリ五輪の直後は、何も手がつかないほどの精神状態だった。しかし、同10月に練習を再開すると「畳の上で戦うことが一番の生きがい。戦うべきことが自分」と、自然と柔道家としての気持ちが沸いて再起。今年2月のグランドスラム・バクー大会で復帰戦Vを飾ると、そのまま4月の全日本選抜体重別選手権、6月の世界選手権、そしてこの日のグランドスラム東京大会も制覇し、2025年を全勝で終えた。
来年6月からは、28年ロサンゼルス五輪のシード権に関わるポイントレースが始まる。内定した26年世界選手権で優勝すれば、階級内の序列的にも3大会連続の夢舞台が大きく近づくことになる。一度は失意の底に沈んだヒロインは「また1段と成長できた」。リベンジの五輪へ、確実に進んでいく。