<明治安田J1:鹿島2-1横浜>◇6日◇最終節(第38節)◇メルスタ鹿島アントラーズが9季ぶり9度目のJ1制覇を成し遂げ…
<明治安田J1:鹿島2-1横浜>◇6日◇最終節(第38節)◇メルスタ
鹿島アントラーズが9季ぶり9度目のJ1制覇を成し遂げた。ホームで横浜に2-1で勝利。川崎フロンターレ時代に主要タイトル7冠獲得など、黄金期を築いた鬼木達監督(51)が今季から指揮を執り、1年目で歓喜をもたらした。
歴代1位を独走するJ1優勝監督5度目、異なるクラブを指揮しての栄冠は史上初という偉業達成となった。プロキャリアをスタートさせたクラブで勝ちへの執念を先頭に立って示し続けて、鹿島に21冠目をもたらした。
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鬼木監督によって始まった鹿島の国内タイトル無冠の歴史を鬼木監督が自ら終わらせた。2017年12月2日。川崎Fの監督だった鬼木は歓喜の中心にいた。首位鹿島と勝ち点差2の2位で最終節大宮アルディージャ戦に臨むと、5-0大勝。ジュビロ磐田と0-0で引き分けた鹿島と勝ち点72で並び、得失点差で上回って、川崎Fにクラブ初タイトルをもたらした。そこから8年で4度のリーグ優勝を含む7冠。Jリーグで一時代を築き上げた一方で、古巣の鹿島は8年間国内タイトルから見放された。
昨季限りで川崎Fを退任し、満を持して選手時代以来26年ぶりに鹿島へ戻ってきた。名門再建の旗頭として-。
今季は開幕戦の湘南ベルマーレ戦こそ敗れたが、第5節で首位に。その後、陥落することもあったが、終盤14戦無敗で駆け抜け、頂きに到達した。
パスをつなぐスタイルを積み上げながら、勝ちへの執念を誰よりも示した。「勝負に対するものというのは一番強くありたい」。一貫した姿勢に選手、スタッフがついてきた。精神的支柱のFW鈴木優磨や得点ランキングトップのFWレオ・セアラ、DF植田直通、GK早川友基らを軸に、選手を躍動させた。一体感が増し、強い鹿島を取り戻した。
勝負師として、ある哲学を明かしたことがある。「数字に出ない部分というか、そういうものに懸けてずっと来ている感じはある。数字のことよりもメンタルのところとかで自分は勝負してきていますし『当たってくだけろ』みたいなのは、やっぱりないですよね。とにかくどんな状況でも、勝ち筋を最後まで見つけたいと思うし、選手にも、それはずっと求め続けるところ」。
今季のターニングポイントに挙げたのは7月5日の第23節。くしくも相手は川崎Fだった。慣れ親しんだU等々力で逆転負けを喫した。「あのゲームは自分の中でも大きかったかなと思います。どっちの選手が躍動してたかというと、川崎の選手だった。そこをそうさせられなかった自分にすごく歯がゆさがあった。目の前で躍動している選手の差がすごく出てしまったゲームだったので、本当に自分の力のなさというか、エネルギーのなさというか、本当に一番情けないなと思いました」。
しかしただで転ばないのが鬼木スタイルであり、今季の鹿島だった。その試合で首位から落ちたが、再び返り咲いた。リーグ戦はそこから無敗を続ける。「すべて負けのところからチームを変えなきゃいけない、強く突き進んでいこうという思いが強くなる。自分自身がやっぱりそこのところのなんか基準みたいなのがまた一気に上がった気はしますね」。
鬼木あるところにタイトルあり。常勝軍団復活の鐘が鳴った。【佐藤成】