◇フィギュアスケート グランプリ(GP)ファイナル 第2日(5日、名古屋・IGアリーナ) ペアのフリーが行われ、ショート…
◇フィギュアスケート グランプリ(GP)ファイナル 第2日(5日、名古屋・IGアリーナ)
ペアのフリーが行われ、ショートプログラム(SP)1位から出た三浦璃来(23)、木原龍一(33)組=木下グループ=が、フリーは自己ベストの147・89点、今季世界最高の合計225・21点で3年ぶり2度目の優勝を果たした。同一シーズンの主要国際大会を全制覇する「グランドスラム」を達成した22―23年シーズン以来の制覇で、26年ミラノ・コルティナ五輪の前哨戦を制した。
驚きと喜びの栄冠だ。三浦、木原組はミスがありながら、フリーで自己ベストの147・89点。フリーは2位とハイレベルな争いも、SPのリードを守って3年ぶり2度目の制覇となった。「小さなミスがあった。それで自己ベストを出していただいて、まだまだ伸びしろがあると思った」と、三浦は胸をなで下ろした。
SP1位から出た最終滑走。サイドバイサイドの3連続ジャンプは最後に木原がバランスを崩した。スロージャンプでもミスがあり、演技後に左手で目元を覆った木原が三浦へ手のひらを合わせて「ゴメン」のポーズ。「僕が失敗しちゃったら、話にならない…」と悔やむ木原を三浦が顔を近づけ気遣った。「最後まで諦めちゃいけない」と食らいつき滑り切った結果は驚きのフリー自己ベストの金メダル。V逸すら覚悟しただけに喜びもひとしおだった。
8年ぶり6度目となった日本開催のGPファイナル。21年大阪大会は出場切符を持ちながらコロナ禍で中止。「縁がないと思っていた」という国内でのファイナルは木原の地元、愛知県に戻って来た。ペアを結成した思い入れのある地で、ファンの歓声に応えた。
今季勝負のフリープログラムに選んだのは映画「グラディエーター」。車での移動中に2人で聴くというお気に入りの曲は五輪の開催地、イタリアが舞台だ。込めるテーマは「自分たちの道は自分たちで切り開く」。22年北京五輪は日本勢初の7位入賞、23年は世界選手権Vと「グランドスラム」達成など、2人で歴史を刻んできた。思い入れの曲とともに、最後に残ったビッグタイトルは日本ペア初の五輪金メダルだ。
ミラノ大会で日本はペア種目で史上初めて2組が出場する。「ゆなすみ」こと長岡柚奈(20)、森口澄士(23)組=木下グループ=は五輪入賞も狙える力をつけてきた。「五輪前、最後の大きな国際大会で表彰台に上がれたことは自信になったし、また戻りたいと思った」と木原。19日開幕の全日本選手権(東京)で五輪出場を決め、いざミラノへ。五輪シーズン前半を締めくくる一戦を、最高の形で折り返した。(大谷 翔太)
◆フィギュアスケートのグランドスラム 国際スケート連盟(ISU)主催のシニアの国際大会で、GPファイナル、四大陸選手権(または欧州選手権)、世界選手権の3大会全てを同一シーズンで制すること。世界では、2000~01、02~03年男子シングルのエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)や、ペアでは06~07年に申雪、趙宏博組(中国)らが達成。日本勢の達成者は、22―23年シーズンのペアの三浦、木原組だけ。