WBA世界ライトフライ級王者の高見亨介(23=帝拳)が、難敵をKOして批判の声を黙らせる。WBO同級王者レネ・サンティア…
WBA世界ライトフライ級王者の高見亨介(23=帝拳)が、難敵をKOして批判の声を黙らせる。WBO同級王者レネ・サンティアゴ(33=プエルトリコ)との王座統一戦(17日、東京・両国国技館)を控えた5日、都内で練習を公開。会見で11月24日に行われた同門の那須川天心の世界戦敗戦後、SNSに投稿されたジムへの戦術批判に触れ「自分が覆す」と4回KO勝利を宣言した。
◇ ◇ ◇
会見で那須川の世界戦について聞かれると、高見は自らこう切り出した。
「SNSで戦術プランが帝拳ジムはあまりないじゃないかというコメントを見るんですよ。足を使われると追い切れないとか、仕留め切れないとか。プランB、Cがないと。自分はそれを覆したい」。名門ジムの看板を背負う自負が言葉ににじんでいた。
11月のWBC世界バンタム級王座決定戦で同門の那須川が、序盤に圧倒しながら、中盤に手数とプレッシャーを強めた井上拓に判定負け。ジム期待の星の初黒星に「すごくショックだった。気を引き締めて自分が帝拳ジムを活気づけようと思った」という。だから批判的なSNSの投稿にも黙っていられなかった。
帝拳ジムは日本最多の16人の世界王者を輩出した名門。育成と試合戦略には定評がある。中学生で入門し、ジム最速のプロ10戦目で世界王座に駆け上がった高見はその体現者。「(本田)会長が自分の収穫になる練習や試合を毎回組んでくれるのですごく伸びしろを感じる。帝拳に入ってよかった」と力説した。
サンティアゴは今年3月、足を使ったポイントを稼ぐ戦術で同門の岩田から判定で王座を奪取した試合巧者。14勝中9KOと打ち合いも強い。それでも高見は「やりにくい展開もイメージしながら、ジリジリと最後は仕留めるイメージ。願望は4ラウンドまでに」とあくまで強気だった。
世界王座奪取後に「YouTubeチャンネル」を開設した。世界王者になった那須川と2人で出演する計画は当面延期になった。「天心が約束を破った。でも計画はまだあります。自分が勝てばおのずと」。本田会長が“秘密兵器”と公言する高見が、批判の声とともに那須川の敗戦ショックも払拭してみせる。【首藤正徳】