「フィギュアスケート・GPファイナル」(5日、IGアリーナ) 女子ショートプログラム(SP)は千葉百音(20)=木下グ…

 「フィギュアスケート・GPファイナル」(5日、IGアリーナ)

 女子ショートプログラム(SP)は千葉百音(20)=木下グループ=が自己最高の77・27点でトップとなった。坂本花織(25)=シスメックス=は5位と出遅れた。世界女王のアリサ・リュウ(米国)が2位。男女フリーは最終日の6日に実施する。ペアは三浦璃来(23)、木原龍一組(33)=木下グループ=が今季世界最高の合計225・21点で3年ぶり2度目の優勝を果たした。SP首位で迎えたフリーは自己ベストの147・89点で2位。3月の世界選手権に続くタイトルの奪還で、来年2月のミラノ・コルティナ冬季五輪へ弾みをつけた。

 みじんの不安も感じさせない完璧な演技に、表情は自信に満ちあふれていた。千葉が自己最高得点でSP首位発進。「全身震えるくらい緊張した。ふわふわしていたけど、その中でもよく滑り切れた。精神的にも全てを出したショートだった」と、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 鮮やかな紫色の衣装を身にまとい、軽快にリズムに乗った。冒頭のフリップ-トーループの連続3回転を降り、ダブルアクセルも完璧に成功させると、勢いは加速。プレッシャーをはねのけノーミスで締め「点数に実感が持てない」と、高得点には夢見心地だった。

 五輪代表枠を争う大会でもある。日本選手は4人が出場するが、上位2人が選考で優位に立つ。「列強ぞろいのファイナル。緊張感が漂う国内の大会」とは言うが、「全部ひっくるめて、緊張感も不安も全部楽しめたら」と、前向きな姿勢でリンクに立った。

 重視するのは技術だけではない。口酸っぱく言ったのは「体調管理」について。以前は体調を崩しやすかったというが、「ウイルスと自分に負けないように」と感染対策はバッチリ。最近のオフには「10時間寝ました」と得意顔だ。「(ドジャースの)大谷さんみたいに12時間寝られるといいんですけど」と冗談も飛ばすほど、万全の状態で名古屋に乗り込んだ。

 勝負のフリーは、アップテンポなSPとはがらりと印象が変わる「ロミオとジュリエット」を演じる。「ショート同様、落ち着いて臨むというのは100%は無理だけど、心だけはひとつの波もない状態で臨めるように気を強くしていきたい」。肝の据わった20歳が、フリーでも貫禄の演技を披露する。

 ◆フィギュアスケートのミラノ・コルティナ冬季五輪代表選考 各3枠の男子と女子は全日本選手権の優勝者が自動的に代表入り。2人目は全日本2、3位やGPファイナルの日本勢上位2人、全日本終了時点で国際スケート連盟(ISU)公認のシーズン最高得点の上位3人から選ぶ。3人目は全日本終了時の世界ランキングや日本スケート連盟独自の国際大会ポイント上位3人などを選考対象に加える。2枠のペアは全日本1、2位と全日本終了時の世界ランキング、シーズン最高得点の最上位から総合的な判断で選出。ファイナル後に日本の五輪団体出場が決まった場合、アイスダンスはペアと同じ基準を適用する。