<フィギュアスケート:グランプリ(GP)ファイナル>◇5日◇第2日◇名古屋市・IGアリーナ◇女子SP来年2月のミラノ・コ…

<フィギュアスケート:グランプリ(GP)ファイナル>◇5日◇第2日◇名古屋市・IGアリーナ◇女子SP

来年2月のミラノ・コルティナ大会で五輪初出場を目指す女子の千葉百音(20=木下グループ)が、代表入りへ好発進した。従来の自己ベストを3・83点上回る77・27点をマーク。世界王者リュウや昨季覇者のグレン(ともに米国)らを抑えて首位につけた。

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本人が、一番驚いた。ミラノ五輪代表3枠争いのヤマ場となる大一番。千葉が、今季世界2位のパーソナルベストをたたき出した。銅メダルを獲得した今年の世界選手権を上回る高得点にも、「ずっとフワフワしていたので…」。演技を終えて心に残る感情は「とにかく声援がすごかったなっていう印象」のみだった。点数と自身を客観視しながら、「感覚が一致しない」と穏やかに笑った。

それが、強さの証左だ。女子唯一のGP2連勝でファイナルへ進出。最終滑走の重圧もあったが、どんな場面でも自分のスケートを見失わないのが今季だった。「ここが踏ん張り時だと骨まで感じていた」。得点源のフリップ-トーループの連続3回転、ダブルアクセル(2回転半)と丁寧に要素を重ねると、基礎点が1・1倍となる後半の3回転ルッツでも大きな加点を引き出した。3本のスピンとステップシークエンスでも最高難度のレベル4を獲得。「フワフワしていたなりに練習から気を付けていたことが意識できた」。考える前に、体が動いた。

ライバルに1歩リードした。五輪代表1枠目には最終選考会となる全日本選手権(12月19~21日、東京)の優勝者が内定となるが、今大会でも日本勢上位2人に入れば代表入りへ大きく近づく。切符を巡る熾烈(しれつ)な争いで前進した20歳だが、「ファイナルが一番頑張らないといけない試合」と守りに入るつもりはみじんもない。

昨季、初出場で銀メダルを獲得した得意舞台。それでも、代表候補として迎える五輪イヤーは初めてで、全てが新鮮に感じている。「100%落ち着いて臨むのは無理。その中でも心だけは1つの波もないように、気を強くしていきたい」。6日のフリー後、全てを出し切ったと言って笑うつもりだ。【勝部晃多】