<フィギュアスケート:ジュニアグランプリ(GP)ファイナル>◇5日◇第2日◇名古屋市・IGアリーナ◇女子フリーショートプ…

<フィギュアスケート:ジュニアグランプリ(GP)ファイナル>◇5日◇第2日◇名古屋市・IGアリーナ◇女子フリー

ショートプログラム(SP)首位の島田麻央(17=木下グループ)が、史上初となる大会4連覇を達成した。フリー144・68点で、シニアを含めて今季世界3位の合計218・13点をマーク。SPに続きフリー&合計でも今季自己最高得点で、王者の貫禄を示した。

冒頭のトリプルアクセル(3回転半)を成功。続く4回転トーループは転倒したものの「思い切り跳べたので後悔はなかった」と崩れなかった。その後の5本のジャンプは、全て1・0点以上の出来栄え点を記録。両腕を広げるフィニッシュポーズをしばらく解かず、余韻に浸った。8年ぶりの自国開催となったファイナル。「一番うれしいファイナルになった」と笑みを浮かべた。

ジュニア女子は出場6人全員が演技構成に3回転半を組み込むジャンプ戦国時代が到来。昨年や一昨年大会は半数の3人しかおらず、成功すれば大きなアドバンテージとなっていたこれまでとは違う。今季は「自分よりも成功確率が高い選手が多い。自分も跳ばなきゃって思って緊張してしまう」と、逆にミスが順位に直結する重圧と戦ってきた。

ただ、ジャンプと同じくらいスピンや表現面を磨いてきた自負がある。「自分らしさは大技だけじゃない。そこを出しつつ大技も決められたら」。この日も3回転半を成功させた上で、3本のスピン全てで最高難度のレベル4で完走。技術点、演技構成点でそれぞれ2位を大きく上回り、合計20点差をつけて突き放した。

「本当にいい経験になった」ときっかけをつかんだのは、先月末の全日本ジュニア選手権だった。自身が持つ連覇記録を「5」に伸ばしたが、フリーでジャンプミスが相次ぎ、自己ベストに約34点も届かない不完全燃焼に終わった。完璧を求めすぎる余り、縮こまっていたことに気付いた。母からの「慎重になって守りに入るのは麻央じゃない」との声かけもあり、「失敗しないのが自分ではなくて、思い切り跳ぶのが自分」と「らしさ」を再認識。大一番で本来の大胆さが戻ってきた。

26年ミラノ・コルティナ五輪には、年齢制限で出場資格を持たない。ただ、来季のシニアデビュー、その先の30年五輪に向けて着実に歩を進めている。ジュニア無敗を継続する絶対女王は、年末の全日本選手権(12月19~21日、東京)ではカテゴリーを超えた優勝が目標。ミラクルをおこす準備は「徐々にできているはず」と言い切った。島田にしかできない記録を積み上げていく。【勝部晃多】