今年のチャンピオンズカップ・G1(12月7日、中京競馬場・ダート1800メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。過去…

 今年のチャンピオンズカップ・G1(12月7日、中京競馬場・ダート1800メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。過去の名勝負・19年勝ち馬のクリソベリル(川田騎手が騎乗)を振り返る。

 2番人気の3歳馬クリソベリル(川田)がゴール前の叩き合いから力強く抜け出して優勝。デビューから無傷の6連勝で、レース史上初の無敗でダート界の頂点に立った。

 クリソベリルの闘志に火がついたのは、デビュー6戦目で初めてだったかもしれない。残り50メートル。内に今年のフェブラリーSの覇者インティ、外にG1・5勝のゴールドドリーム。しぶとい勝負根性で強豪古馬の間を割って先頭に立ち、首差での勝利。6戦目もまた先頭でゴールを駆け抜けた。過去5戦で2着につけた差は合計で26馬身。最小着差での勝利にも、「自分から抜け出したところも、改めて強さを感じました」と川田が言えば、「着差以上の強さがあった」と音無調教師。

 5番枠からスタートを決めると、内をロスなく追走。直線でも、川田の判断で進路はインコースに。「この枠だったので、外からのイメージはありませんでした」。的確な判断でエスコートし、自身初の19年JRA・G1制覇をつかんだ。

 陣営も確かな成長を感じ取っていた。2走前のジャパンダートダービー、前走の日本テレビ盃と圧勝しながら、「実際は夏負けがあった。レースに影響はないと思って使ったけど、馬は苦しかったと思います」と音無師。前走後に放牧を挟み、しっかりと仕上げてきた。「戦前は不安もあったけど、見た目以上に根性がある馬だからね。放牧ですごく成長をしてくれた」と、目を細めた。

 20年には中東に遠征し、サウジC6着。日本に戻ってからは帝王賞、JBCクラシックを制して通算G1級4勝を挙げた。その年のチャンピオンズC(4着)後に、右後肢じん帯の損傷が判明して長期休養に。21年9月の日本テレビ盃で復帰したが、6着に終わり、これが現役最後のレースになった。21年10月13日、ステージ4の喘鳴(ぜいめい)症のため引退。北海道・社台スタリオンステーションで種牡馬入り。通算11戦8勝(うち地方6戦5勝、海外1戦0勝)。他の主な勝ち鞍は19年兵庫CS、日本テレビ盃(ともにJpn2)。