広島・床田寛樹投手(30)が4日、マツダスタジアム内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、3500万増の1億8500万円で…

 広島・床田寛樹投手(30)が4日、マツダスタジアム内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、3500万増の1億8500万円でサインした(金額は推定)。今季はチームトップの9勝を挙げ、リーグトップの6完投、同タイの3完封をマーク。節目の10年目となる来季に向け、①貯金5②180イニング③試合を決める本塁打の3つの誓いを立てた。

 左のエースとして戦い抜いた1年を、床田は厳しく振り返った。「今年も結局勝負どころで勝てなかった。悔しいシーズンだったかなとは思います」。胸の内にあるのは、まだ貢献できるという強い思い。来季こそ優勝争いの中で腕を振るため、3つの誓いを立てた。

 1つ目は「貯金5」。今季は26試合に先発し、9勝12敗、防御率3・15。チームトップの勝ち星をマークするも、2桁勝利は2年連続でストップした。カード頭を任されることが多く、投げ合うのは各球団のエース級。「先に点をやらないのが一番」と主導権を握り、23年の11勝7敗で記録した貯金4を超えるキャリアハイを狙う。

 2つ目は「180イニング」。今季は6完投3完封を記録し、自己最多を更新するリーグ3位の171回1/3を投げ抜いた。さらにイニング数を伸ばすため、球種の投球割合の見直しに着手。直球とツーシーム頼りの投球から、「ナックルカーブ、スライダー、チェンジアップ、カーブの割合を上げていければ」とモデルチェンジに挑戦し、「(180回は)十分いける数字だと思う」と自信をのぞかせる。

 3つ目は「試合を決める本塁打」。9月9日・巨人戦(東京ド)で待望のプロ初本塁打を放つも、本業の投球で初回に6失点を喫していたこともあり、無表情でダイヤモンドを1周。「全然うれしくないところでの本塁打だった」と苦笑いで振り返り、「うれしい本塁打を打ちたい。いいところで」と“二刀流”での活躍に意欲を示した。

 課題克服にも全力で取り組む。直近2年は後半戦に失速。9月に限ると今季は4戦4敗、昨季は4戦3敗。勝負どころでチームの力になれず、「野球やめたい」と思い悩むこともあったが、「トレーナーと話をして違うアプローチができれば」と調整法などを練り直し、夏場以降の戦いに挑んでいく覚悟だ。

 来季は節目のプロ10年目。順調にいけば国内FA権を取得予定で、自身にとっても大事な1年となる。「10年目っていうのは通過点にして、あと5年、10年できるように頑張りたい」と力を込めた床田。左腕の投打にわたる躍動が、鯉の逆襲のカギを握る。

 ◆床田の初本塁打(9月9日・巨人戦=東京ドーム) 2回表無死一塁の場面で打席に立ち、戸郷から右翼席へプロ1号を放った。打撃が得意で、毎年のように本塁打を放つことを目標に掲げていたが、直前の1回裏に大量6点を失っており「スコアボードを見て『チッ』と思いながら走っていた。あまりうれしくなかった」と複雑な表情だった。