会見室の天井に何かが見えるのだろうか-。西武の中村剛也内野手(42)はそう思わされるほど、右上、左上、右上とリズミカルに…
会見室の天井に何かが見えるのだろうか-。西武の中村剛也内野手(42)はそう思わされるほど、右上、左上、右上とリズミカルに視線を移し「うーん」と考え込んだ。
「…忘れたっすね」
4日、プロ25年目への契約更改。「ちわっ!」と声を張って会見場に現れた。
球団フロントから掛けられた言葉を会見で問われると、20秒ほど左右運動を繰り返した末に「何話したのかな?」と思案の結論を出した。
「ボーッとしてました」と笑い、このオフの取り組みも「ヒミツですね。ヒミツ」と笑うが、そんなはぐらかしも含めてのおかわり節。仕事は仕事。真剣に交渉に向き合った。
牛骨バットに魚雷バット。24年間で通算481本塁打をかっ飛ばした「おかわり君」にも見慣れない道具が世に出てきた。「興味本位で使いましたけど、それを使いこなすには時間が足りなかったので」。打つために、勝つために。最善を尽くしている。
盟友の栗山巧外野手(42)が来季限りでの引退を表明した。「感じるところ? そんなにないですね。人は人なので」とあらためてのおかわり節。全ては本当にその時が来てからだ。
代打起用も増えた。必然的に、パ・リーグの各球団が誇る高速リリーフ陣との対戦も増えた。「シーズンの初めはまあまあうまくいってたんですけど、そこへのアジャストもあるので」。中村剛に限らず、1打席勝負のハードさは年々高くなっている。それでも「とりあえず来年はやります」と25年目の戦いへ挑む。
報道陣から色紙を渡され、また「うーん、うーん」と天井を見上げる。
「ダイエット」
書かれた言葉に笑いが起きる。「字もちょっと細めに書いたよ」と、このあたりがテクニシャン。
会見を終えて「うーん」と背伸びし、その約10分後。炭谷銀仁朗捕手(38)の契約更改会見の冒頭、代理人役として再登場を済ませてから、球団事務所をあとにした。【金子真仁】