初の4強へ、日本の立ち位置は-。27年10月1日開幕のラグビーW杯オーストラリア大会組分け抽選会から一夜明けた4日、15…

初の4強へ、日本の立ち位置は-。

27年10月1日開幕のラグビーW杯オーストラリア大会組分け抽選会から一夜明けた4日、15年W杯イングランド大会で日本代表エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、65)とコーチ陣を形成した沢木敬介氏(50)が、現在地と残り2年での期待に言及した。

世界ランク12位の日本は同5位フランス、同16位米国、同19位サモアと同じ1次リーグE組。19年日本大会に並ぶ8強、その先の4強へ他国を分析した。【聞き手=松本航】

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組分けは率直に「トップ4を目指すには、なかなかハードだ」と感じた。一番気にしなければいけないのは、日本より下位の2チーム。実力的には米国、サモアからの2勝は堅い。一方で、特にサモアはW杯に別物のチームで来るだろう。

現在のラグビー界には試合から3年以上離れた選手が、異なる国でプレーできるルール(※)がある。サモアはその候補となる選手が多く、22年を最後にニュージーランド代表「オールブラックス」から離れているアキラ・イオアネ(現花園近鉄ライナーズ、父が元サモア代表)らも可能性はある。毎夏のパシフィック・ネーションズカップとは、違う顔ぶれも想定しなければいけない。

世界ランク1~6位が振り分けられた第1バンドだが、フランスも「5位」と考えない方がいい。世界的SHのアントワーヌ・デュポンが故障で出ていなかったからだ。所属のトゥールーズで復帰したが、彼が入ると全く別のチーム。一気に歯車がかみ合う。19年から指揮するファビアン・ガルティエは、相手の弱みを見極めることにたける。日本相手でもしっかりと準備し、抜け目はないはずだ。

現実的な2位通過だった場合、16強では開催国オーストラリアと戦う可能性が高い。1位通過の際のアイルランドかスコットランドより、個人的には戦いやすいと感じる。セットプレーが安定し、キックゲームにたける2チームに対し、オーストラリアは10月に15-19で惜敗した肌感覚もある。来夏の監督交代が発表されており、トップが変われば、絶対にスタイルも変わる。プラスかマイナスかは予想できないが、W杯に向けた4年を同じ人が指揮するのは、すごく大きなアドバンテージだと思う。日本のエディーは23年W杯でオーストラリアを率いていた。当時接した選手たちに関し「こういう状況に弱い」など、メンタル面の細部まで知っているのも大きい。

エディーはW杯までの期間で試し、一発勝負にぶつけることがうまい。15年W杯は「ビート・ザ・ボクス(南アを倒せ)」という練習だけで用意したロングキックを使った。当時の南アは自陣22メートルラインの内側からカウンターの概念がなく、日本は相手がタッチに出しても、スピード重視のラインアウトでボール確保できる計算があった。いよいよ対戦国が決まり、プランを作り上げる段階。W杯まで4年率い、しっかり準備できることはプラスに働くはずだ。(15年W杯日本代表コーチングコーディネーター)

※21年に国際統括団体ワールドラグビー(WR)が規定を改正。最初の代表チームでの最後の試合出場から3年の経過が第一条件。代表資格変更を希望する国で、本人または親や祖父母の誰かが生まれている必要がある。変更は1度のみ可能で、WRの承認が必要。