おもちゃのカラーバットが一振りされると、ゴムボールは壁に貼られた「ホームラン」と手書きのボードに直撃した。巨人丸佳浩外野…
おもちゃのカラーバットが一振りされると、ゴムボールは壁に貼られた「ホームラン」と手書きのボードに直撃した。巨人丸佳浩外野手(36)は誇らしげにバットを頭上に掲げ、子どもたちと歓喜を分け合った。
30日、都内の中高生の居場所施設だった。「丸メシプロジェクト」として、施設で提供される食事代の寄付を続けて5年目になる。毎シーズンの安打数+四死球数に1万円をかけた金額を支援してきた。1年に1回、必ず訪問し、触れ合う時間を大事にしてきた。
「僕は子どもの時から好きなものをおなかいっぱい食べて過ごすことができた。少しでも、そういう食事を通じて、日々の生活に少しでも輝き、楽しさを持ってもらえたら」。この日は唐揚げを一緒に作り、食卓を囲んだ。玩具のバットを使ったチーム対抗戦では、壁に貼られた的に見事な“本塁打”を打ち込んだ。
部屋には「丸選手活躍メーター」が掲げられていた。けがで出遅れた今季の安打+四死球の合計は「127」。丸は「本当にいろいろ作ってくれる。もっと打たなきゃダメだな」と奮い立つ。来季の数字目標は明言せずも、「当然、思いはある」と語る。
あと71本の通算2000安打もかかる。「早く達成することがチームへの貢献にもなる。『次はリーグ優勝だな』という感じでいけたら」と見通し、その先に「まだ一度も達成できてない」日本一を希求する。子どもたち手作りの「メーター」の数字が増えるほど、おなかいっぱいの笑顔と一緒に、その悲願も見えてくる。【阿部健吾】