プロ野球の巨人、ヤクルトなどで活躍し、DeNAの監督も務めたアレックス・ラミレス氏(51)が17日までにデイリースポー…
プロ野球の巨人、ヤクルトなどで活躍し、DeNAの監督も務めたアレックス・ラミレス氏(51)が17日までにデイリースポーツの独占インタビューに応じた。野球に携わる仕事やタレント業をこなす傍ら、日本アイスホッケー連盟の理事兼広報委員長を務めており、知名度を生かしてミラノ・コルティナ五輪で初のメダルを狙うアイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」のPRに尽力。南米出身の球界のレジェンドが、冬季競技に携わる理由や、五輪に臨む選手たちへ伝えた内容を明かした。
日本球界を代表する南米生まれのラミレス氏が、一見関わりがなさそうなウインタースポーツの世界を盛り上げている。現役時代はNPBだけで2017本の安打をマーク。16年から5年間はDeNAで指揮を執った。23年に野球殿堂入りを果たした助っ人は、同年から日本アイスホッケー連盟の理事兼広報委員長を務めている。
きっかけは、友人で、現在の日本アイスホッケー連盟の会長である藤木幸太氏にアイスホッケーの試合に連れて行ってもらったことだった。
「(アジア・リーグのプロチーム)横浜グリッツの試合を見て、素晴らしいスポーツだと思った。デュアルキャリアのシステムが心に響いた」
アイスホッケー界は、たとえプロでも野球のように競技一本で生計を立てることは難しいのが現状。プロ野球とは違い、競技と仕事を両立する選手がほとんどだ。ラミレス氏は「家族も支えながら、しっかりプレーもできるのが、まず一つ気に入った」と明かす。初めて観戦した日から、競技愛に突き動かされる選手に心がひかれたという。
それから誘いを受け、22年に横浜グリッツの共同代表になったのが、ラミレス氏のアイスホッケー界参入の始まり。現在はアジア・リーグのチェアマンも務めている。
力を込めたいというのが広報活動。「野球で選手、監督として成功することができたのと、今はタレント業もやっている。知名度を利用して、1人でも多くの人にアイスホッケーの素晴らしさを知ってもらいたい」。今年1月には、都内で行われたミラノ・コルティナ五輪最終予選に臨む女子日本代表の発表会見に出席し、本塁打を放った際の決めポーズだった『ゲッツ』で場を盛り上げた。
野球とはかけ離れた世界だが、アイスホッケーと通ずる部分もあると話す。それは、ラミレス氏が現役時代に重きを置いてきた「試合に対する準備」だという。
「野球に、10割バッターで全部ヒットを打ったり、ホームランを打つ人はいない。当然、打つ日もあれば打たない日もあるけど、努力、準備だけはしっかりして、それで結果が出ないのであれば仕方がない。また、新しい準備とルーティンをすることを続けるのが、とにかく重要」
選手と直接話す機会があった際には「全力を尽くして、ベストを尽くして、一番してほしくないのは後悔をすること」とアスリートとしての極意を伝授。逆に選手からは「アスリートとしてなきゃいけない自信というものを強く感じた。『この人たちは何かやってくれる』みたいなオーラをすごく感じた」と勝利への熱意を受け取った。
スマイルジャパンは、2月に北海道苫小牧市で行われたミラノ・コルティナ五輪最終予選を勝ち抜き、日本勢で五輪出場権獲得第1号となった。4大会連続の五輪出場を決め、ラミレス氏は「やっぱり僕の見立ては間違っていなかった」とニヤリと笑った。
五輪の現地観戦は計画の途中だというが「オリンピックに向けて、一緒に戦っていくんだっていう気持ちを持ってやっていきたい」と、一心同体となって勝利を目指す腹積もりだ。「ベストな結果を残してほしいと当然のように思っている。でも、一番重要なことは、今日の試合をどう戦っていくか。今日の試合を勝つためのベストを尽くしてほしい。ゲームの一つ一つに集中してやってもらいたい」。初の五輪メダルを狙うスマイルジャパンへ、球界のレジェンドがエールを送った。
◆アレックス・ラミレス 1974年10月3日、ベネズエラ・カラカス出身。現役時代は右投げ右打ちの外野手。98年にインディアンスでメジャーデビュー。パイレーツを経て、01年にヤクルト入団。08年に巨人移籍後、12年からDeNAに在籍し、13年4月に外国人選手として初となるNPB通算2000安打を達成した。NPB通算2017安打、380本塁打。16年から20年までDeNAの監督を務めた。22年にプロアイスホッケーチーム・横浜グリッツの共同代表に就任した。23年に日本アイスホッケー連盟の理事兼広報委員長に。今年、アジアリーグのチェアマンに就いた。
◆日本のアイスホッケーの五輪出場 女子は1998年長野大会に初めて出場した。22年北京大会で初めて準々決勝に進出。ミラノ・コルティナ五輪は4大会連続5度目の出場になる。1次リーグで日本はB組に入り、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデンと対戦。決勝トーナメントはA組の全5チーム(米国=世界ランク1位、カナダ=同2位、フィンランド=同3位、チェコ=同4位、スイス=同5位)とB組の上位3チームが進出する。男子は98年長野大会に出場しており、それ以降は出場がない。