<天皇杯:町田2-0FC東京>◇準決勝◇16日◇国立競技場町田が東京を延長戦の末に2-0と下し、初の決勝進出を果たした。…
<天皇杯:町田2-0FC東京>◇準決勝◇16日◇国立競技場
町田が東京を延長戦の末に2-0と下し、初の決勝進出を果たした。25歳の誕生日を迎えたMF林幸多郎が延長前半13分に右足で均衡を破ると、同後半4分にFWオ・セフン(26)が追加点を挙げた。青森山田高時代に国立で強さを発揮してきた黒田剛監督(55)のもと、クラブ初タイトルに王手をかけた。神戸は広島を2-0で破り、2大会連続の決勝進出。両チームは22日に国立で激突する。
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町田が延長戦で難敵を競り落とした。「同じピッチで同じ相手に2回負けることは、これ以上屈辱的なことはない。それが選手たちの気持ちを動かした」と黒田監督。9日のリーグ戦からわずか1週間、国立で東京にリベンジを果たした。
ポジティブな感情は往々にして勝利のファクターとなる。まずは先制点を挙げた林。25歳の誕生日だった。黒田監督いわく「目がキラキラ輝いていた」。一発勝負のカップ戦で「幸多郎(林)のロングスローは脅威になる」。1週間前は出番がなかった男がロングスローを連投し、延長前半にはオ・セフンの落としたボールに走り込み値千金のゴールまで奪った。「誕生日にゴールするなんて初めて、本当に幸せ」。殊勲の男は喜びをかみしめた。
続いて相馬。鋭いドリブルとクロスで攻撃の切り札となった男は、延長後半4分にオ・セフンの得点をアシスト。その裏で、前日に第2子の男児が誕生していた。「前日のホテルで(昌子)源君が“チームに家族が増えたからそのためにも勝とう”って言ってくれた。本当にうれしかった」。チームはファミリー。その幸福の一体感はピッチにも間違いなくあった。だから集中力は切れなかった。
そして黒田監督だ。言わずと知れた“国立男”。「新国立は青森山田時代も何度も戦ってきた。カップ戦の準決勝で負けた記憶は一度もない。いっぱい勝たせてもらった競技場だし、その記憶を持って送り出せた」。連日のミーティングにPK練習、ロングスローと黒田イズムはより深まる。「自信、勝負というものを選手たちにきちんと乗り移させて決勝戦を戦えたら」。一足飛びで成長を続けるクラブは初のタイトルへ力強く向かう。【佐藤隆志】