<東京デフリンピック>◇15日◇開会式◇東京体育館聴覚障害者による世界最大の国際スポーツ大会、第25回夏季デフリンピック…

<東京デフリンピック>◇15日◇開会式◇東京体育館

聴覚障害者による世界最大の国際スポーツ大会、第25回夏季デフリンピック東京大会が開幕した。デフ(Deaf)は英語で「耳が聞こえない」を意味し、デフリンピックは「デフ+オリンピック」のこと。国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)によって、夏季と冬季に五輪と同じく4年に1度、開催されている。

「耳が聞こえない、聞こえにくい」デフアスリートが参加し、第1回は1924年にフランスのパリで開催された。1960年にイタリアのローマで第1回が行われたパラリンピックより、その歴史は長い。

今年で101年。今回の東京デフリンピックが“100周年”の記念大会となり、世界81の国と地域から史上最多の3081選手が最終エントリーした。選手団の入場では、五輪におけるギリシャのように、発祥国フランスから行進した。最後は開催国の日本。歴代最多の約270人が日の丸を振って、練馬区「だいこん連」の太鼓や阿波おどりに乗って、歩を進めた。

国内では2021年の東京五輪・パラリンピック以来となる大規模総合大会。当時は新型コロナ禍で無観客を余儀なくされたが、この日は観衆や家族からハンドサインで祝福された。

国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)のアダム・コーサ会長は「秋篠宮皇嗣同妃両陛下、佳子内親王陛下、悠仁親王陛下、高市早苗内閣総理大臣、小池百合子都知事に感謝申し上げます」と手話であいさつ。「デフスポーツ万歳!」と開会を宣言すると、アンセムが鳴り響き、デフリンピック旗が掲揚され、場内から再びハンドサインが送られた。

聖火に当たる「光のリレー」では、日本初の夏季デフリンピック・メダリストの鈴木リヲ子、同冬季伏見景子、最後はパラトライアスロン選手の谷真海が3人で、今回の東京2025デフ日本代表選手へ光をつないだ。卓球女子の亀澤理穂と、競泳男子の茨隆太郎が開会を告げる光の柱に点灯した。

選手・競技役員による選手宣誓は、陸上男子の山田真樹とテコンドー女子の星野萌、水泳競技運営デフ代表の金子真美が務めた。君が代の斉唱は一青窈、日本手話言語は江副悟史が全うした。最後は、デフ大会の「100年と1日」を表現したアーティスティック・プログラムで締めくくられた。

大会は、閉会式が行われる26日まで21競技209種目が実施される。国際手話のほか、スタートランプや旗などを使った視覚による情報保障が特徴。補聴器などを外した状態で、聞こえる一番小さな音が55dB(デシベル=通常の話し声が聞こえないレベル)以上の選手が参加できる。

日本選手団は、前回22年カシアスドスル大会(ブラジル)の30個を上回るメダルを目指す。【松本航、木下淳】