<全国高校サッカー選手権静岡県大会:浜松開誠館0(5PK4)0藤枝東>◇15日◇決勝◇アイスタ浜松開誠館がPK戦の末、5…
<全国高校サッカー選手権静岡県大会:浜松開誠館0(5PK4)0藤枝東>◇15日◇決勝◇アイスタ
浜松開誠館がPK戦の末、5-4で藤枝東を下し、3年ぶり3度目の優勝を飾った。0-0で迎えたPK戦でGK吉田壮馬(3年)が相手のキックを2本セーブ。6月の県総体決勝で破った名門を再び退けた。同校中等部出身の3年生は全国中学体育大会で全国制覇。「期待の世代」がチームの軸となり、同校初となる県総体との「2冠」を達成した。全国選手権(12月28日開幕)の組み合わせ抽選会は17日に行われる。
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特別な場所で浜松開誠館が3度目の頂点に立った。同校が初優勝した18年決勝もIAIスタジアム日本平が会場。同じピッチで栄冠を手にすると、控え選手もなだれ込み、全員で歓喜の輪を作った。元J1清水で活躍した青嶋文明監督(57)にとってもかつての「本拠地」でタイトルを獲得。試合後は「この1年間はここを目標にモチベーション高くやってきたのでよかったです」と感慨に浸った。
守護神が主役になった。延長戦でも決着がつかず、0-0のままPK戦に突入。吉田は「ここまでみんなが走ってくれたので、絶対に止めてやろうと思った」。先攻の浜松開誠館は2人目が失敗。直後に相手のシュートを右手でセーブすると、止めれば決着する6人目も横っ跳びしながら両手でストップ。優勝の立役者は「毎日PKを練習してきたので自信はあった」と白い歯を見せた。
県総体に続く、2大会連続での全国出場は創部初の快挙。主将のMF川合亜門(3年)は「過去の実績に甘えることなくやってきた成果だと思う」と胸を張った。川合ら、登録メンバーの半数以上を占める中等部出身選手は22年の「全中」で日本一を経験。周囲からも期待する声が多かった。
ただ、実際は違った。青嶋監督は「『井の中のかわず』というか。どこかでプライドが邪魔していたり、自己満足している選手もいた。中学と高校は全く別物というのを分かるまで時間がかかった」。期待の世代として迎えた今年1月の新人戦は16強止まり。同じ西部地区の磐田東に敗れたことが転機になった。
「このままでは勝てない」。川合主将を中心に戦い方を見つめ直した。同校のチームコンセプトは「闘う・走る・粘る」。自己犠牲を払い、守備最優先のプレーを徹底し、県総体は無失点で初優勝。今大会も4試合でPKでの1失点のみと、生命線の堅守で激戦の静岡を勝ち抜いた。
過去2度出場した全国選手権はともに初戦敗退。今夏の全国総体では同校初の全国初勝利を挙げたが、冬の1勝が新たな目標になった。大会MVPのDF水谷健斗(3年)はチームの思いを代弁する。「いつも通り一戦必勝で戦いたい」。最終目標は聖地・国立での1勝。浜松開誠館の黄金世代が期待を力に変え、高校年代でも日本一を目指す。【神谷亮磨】