9月の世界選手権東京大会男子100メートル代表の桐生祥秀(29=日本生命)が15日、千葉県柏市でかけっこ教室を行った。子…

9月の世界選手権東京大会男子100メートル代表の桐生祥秀(29=日本生命)が15日、千葉県柏市でかけっこ教室を行った。子どもに体を動かす楽しさや日本代表のアスリートと交流してもらおうと、同社柏常総支社の主催で、小学生約120人が参加した。

「かけっこで速く走るコツ」をテーマに、2000年シドニーオリンピック(五輪)代表の小島茂之コーチと一緒に練習法を伝授した。走行時の基本姿勢の保ち方や足の回転数を上げるためのトレーニングなど約1時間レッスン。最後は抽選で選ばれた参加者と一緒に短距離の直線勝負もし、今季日本一のスプリント力を披露した。

イベント後には取材にも応じ「僕が初めて8年前ぐらい滋賀でやった時に参加してくれた子がもう大学生になっていて『あの時、参加しましたよ』とか言ってくれた。本当に日本の大きな大会とかで一緒に走る時が来たら、僕自身もうれしい」。自身の取り組みの成果をかみしめていた。

今季は、7月の日本選手権100メートルでは5年ぶり3度目の優勝。富士北麓ワールドトライアルでは、9秒99(追い風1・5メートル)をマークし、日本人初の9秒台となる9秒98を打ち立てた2017年以来、8年ぶりに10秒の壁を突破した。

しかし、国内開催となった東京世界陸上では100メートル予選敗退。3大会ぶりのメダル奪取を狙った400メートルリレーでは第3走者を務めたが、スタート直後に右脚をつってけいれんし、チームは6位に終わった。

再び世界の壁を痛感したが、桐生は「思ったような結果ではなかったけど、日本選手権も久々に勝ったし、タイム的にも自己ベストではないが、悪いタイムではない。来年につながるようなシーズンになった」と前向きに総括した。

かけっこ教室後のトークショーでは参加者からの質問にも全力回答。来シーズンの目標について聞かれると「日本記録の9秒95を超えるためにも、9秒8台を目指したい」と力強く宣言した。来シーズンの初戦は未定というが、すでに2年後の世界選手権北京大会や3年後のロサンゼルス五輪へ強化を始めている。

同イベントは2018年に開催され、これまで桐生の地元滋賀などを含めて35の都道府県で展開してきた。目標の「全国制覇」までは沖縄や鳥取など残り12箇所に迫っており、「現役のこのスピード感をたくさんの人に見てもらうためにも今しかできないこと」と桐生は話していた。【泉光太郎】