若虎に超人魂が注入された。阪神の糸井嘉男スペシャルアンバサダー(SA=44)が13日、高知・安芸で行われている秋季キャン…
若虎に超人魂が注入された。阪神の糸井嘉男スペシャルアンバサダー(SA=44)が13日、高知・安芸で行われている秋季キャンプに1日限定の臨時コーチとして合流した。糸井SAと同じように今オフ、投手から野手に転向した西純矢投手(24)に熱血指導。ランチ特打で「大胆に振れ!」とアドバイスすると、直後に4本の柵越えを放つなど効果抜群だった。
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同じ道を歩み出した後輩に、糸井SAは西純にマンツーマンで言葉を投げかけた。午前中から守備練習にも立ち会い談笑。西純がランチ特打の準備に入ると、ティー打撃、ロングティー打撃でも横に立ち、対話を続けた。
「(西純は)疲れてましたね。この1カ月は体がパンパン。それが全て自分の力になりますし、まっさらなところからスタートだから吸収するものも早い」
西純が井坪と交互にケージに入ると、インターバルで声かけ。3度目の交代時には後輩が使用する2本の長短のバットを持ち比べ、西純が投手時代から愛用する長めバットを握らせた。「(球に)合わせに行ってたし、きれいに振ろうとしてる部分がちょっとあるんで。『もっと大胆に振って』と。打球の音が変わってましたね。元々放り込む力ありますから」。プロとして野手1年生の西純だが直後に4本の柵越えを放ち、スタンドのファンから拍手に包まれた。
西純は19年にドラフト1位で入団。3年目の22年は主に先発で6勝3敗、23年も5勝を挙げた。しかし昨季は4試合0勝1敗。今年2月に右肘手術を受けたが2軍戦でも登板できず、野手転向を決断した。糸井SAも投手としてプロ入りしたが3年目に野手転向。通算1755安打を積み上げるなど球界を代表する選手になった。この日は後輩が出番を終えると先輩自らケージへ。現役時代をほうふつとさせる強い打球で19スイング中2本を右翼フェンスへ突き刺し、後輩へ背中でエールを送った。
西純も「『絶対できるようになるから』っていう、ポジティブな言葉かけてもらったりしたんで、練習しっかり頑張ろうっていう風に思いました。(転向して)活躍された方の話を直接聞かせてもらえるのは、すごいありがたいですし、恵まれている」と感謝感激だ。糸井SAは「もっとやってたな、俺(笑い)。寝てないもんね。(当時は)『お前、何億スイングも遅れてるぞ』って言われたから」とニヤリ。西純がスイングの鬼になるのは、これからだ。【伊東大介】
◆糸井SAの野手転向 近大から投手として03年ドラフト自由枠で日本ハムに入団した。制球難などがあり結果が出ず、1軍登板がないまま3年目の06年4月に外野手にコンバートされた。同年は2軍52試合で打率3割6厘の8本塁打と結果を残し、翌07年にプロ初出場や初安打。転向4年目の09年にレギュラーを獲得し、131試合で打率3割6厘、15本塁打、24盗塁だった。